著者
平 弥悠紀
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-15, 2005-12

天沼寧編『擬音語・擬態語辞典』(1974〔昭和49〕年,東京堂出版)に収録されている音象徴語のうち,XYXYタイプ(AB型の「ABAB」,AR型の「ARAR」,A型の「AーAー,AッAッ,AンAン」)の擬音語について調査した結果,以下のことが明らかになった。AB型の語基の子音は,第1音節は「p・b・h・k・g・t・d・s・z」に,第2音節は「p・b・h・k・g・t・d・s」に集中しており,AR型,A型も第1音節はAB型と同様であった。また,どの型においても「m・n・w・j・r・φ」はわずかであった。擬音語は,「声」と「音」に二分でき,更に,「音」は,「動作に関わる音」,「無生物が発する音」,「物と物とが作用して生じる音」に分けることができる。「生物が発する声」と「無生物が発する音」にはA型の語が多く,「物と物とが作用して生じる音」には,AB型の語が多く見られた。圧力が加わって音が出るという点で,「動作に関わる音」の「噛む・齧る」は,「物と物とが作用して生じる音」の「引っ掻く・削る」等と共通しており,これらはAR型の「AリAリ」の形が圧倒的であった。「物と物とが作用して生じる音」でも,「触れ合う」,「打ち当たる」等にはAB型が多かった。また,第1音節を同じくする語の中には,「ARAR」は「震える音」,「AンAン」は「響く音」,「AッAッ」は「短い音」,「AーAー」は「継続する音」といったニュアンスが感じられるものもある。AR型の語は,従来の研究ではAB型として扱われてきたが,A型のバリエーションというとらえ方をすることも可能な語もあり,今後更に検討を加える必要があると考える。擬態語との比較も課題である。

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