著者
藤原 正弘 木村 忠正
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:13440896)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.43-55, 2009-03

インターネットなど情報ネットワークの社会的普及と日常生活への浸透に伴い,ネットワーク利用と一般的信頼感との関係について,広く関心が寄せられ,これまで研究が行われてきた。しかし,これまでの研究では,一般的信頼感とネットワーク利用行動との明確な関係性が見出されているとは言い難い。そこで本研究では,山岸(1998)の一般的信頼に関する議論が,信頼と安心を対立的にとらえているのに対して,Hofstede(1980,1991)の不確実性回避傾向指数(UAI,Uncertainty Avoidance Index)を安心の尺度と考え,信頼とUAIを相互に独立した次元と仮定し,組み合わせによる類型的枠組とネットワーク行動との関係の研究を試みた。具体的には,低い一般的信頼,高いUAIがインターネット利用を限定的にしているとの仮説とともに,低信頼+高UAI=「没交渉志向」=匿名掲示板利用,のように,信頼とUAIを組み合わせた類型の心理的特性とそれに関連するインターネットサービス利用との関係を仮定し,それぞれ検証を行った。その結果,多くの仮説は支持され,一般的信頼とUAIとを組み合わせることの有効性,とりわけ,UAIがインターネット利用行動の分析に有効であることが示された。

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