著者
菅野 敦
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.110-116, 2009-08

本稿では,ダウン症候群を対象に,彼らの知的機能の特性に関して生涯発達の視点から,1・加齢に伴う変化及び,2・その特性を明らかにすることを目的にした.その結果,ダウン症候群は他の原因による知的障害や自閉症と比較して精神年齢(MA)の分散が小さいこと,また,30歳台をピークにして変化が生じ,40歳台後半には有意に低くなることを明らかにした.あわせて,通過容易項目と通過困難項目の分析から,MA4歳台を変換点として,知的機能の特性に質的な違いのあることが推測された.知的クラスターによる分析から,「知覚—運動」は最も早く加齢の影響を受け10歳台後半から20歳台に著しく低下する能力であった.「物の名称の理解と表出」,「比較判断」,「数概念」は比較的高齢まで保つ能力で30歳台を過ぎて低下が示された.一方,先行研究からもダウン症候群においては困難であると報告されている「短期記憶」と高度の言語操作を要する「物の概念的理解と表現」,「文章の理解と類推」は加齢に伴い著しい低下が示される能力であった.最後に,知的障害の生涯発達研究の課題を整理した.

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CiNii 論文 -  ダウン症候群の知的機能の生涯発達的変化 (特集 知的障害と発達研究) https://t.co/U9Geb2SfH4
へえ。 「ダウン症候群は他の原因による知的障害や自閉症と比較して精神年齢(MA)の分散が小さい。また、30歳台をピークにして変化が生じ、40歳台後半には有意に低くなる」 →ダウン症候群の知的機能の生涯発達的変化 (特集 知的障害と発達研究) https://t.co/aRyrHGukMm

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