- 著者
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前川 泰之
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.108, no.386, pp.1-6, 2009-01-14
- 被引用文献数
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2
1988年から2006年にかけて大阪電気通信大学(大阪府寝屋川市)において測定されたKa帯とKu帯衛星電波の降雨減衰長期統計について、それらの周波数スケーリング特性の年変動に注目して、詳しく解析を行なった。各年のKa帯とKu帯降雨減衰量の累積時間率分布における等時間率値の比率は±10%以上の変動を示し、ITU-R勧告による周波数スケーリング法に対してかなりの誤差が発生することが分かった。過去19年間の500例近い降雨事象の前線種別を調べた結果、夏季の夕立発生頻度に加えて梅雨期と秋雨期における停滞前線の雨滴粒径分布の差異が、減衰比の年変化の大きな要因であることが示された。そこで代表的な3種の雨滴粒径分布を降雨事象毎に指定してKu帯BS電波の減衰測定値から1分間隔でKa帯N-Star電波の減衰量を求めると、両者の累積時間率分布における周波数スケーリング精度の大幅な向上が示された。また梅雨期と秋雨期あるいは夕立等の特定の降雨タイプにおいて雨滴粒径分布を指定して推定を行うと、同様に精度の向上を見込めることが確かめられた。