- 著者
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韓 守信
- 出版者
- 同志社大学
- 雑誌
- 基督教研究 (ISSN:03873080)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.2, pp.59-80, 2007-12
本研究では、「盧溝橋事件」以降の皇民化政策および総動員体制下における朝鮮総督府の宗教政策についての分析を、非西欧系宗教と西欧系宗教との比較を用いて行なった。総督府は、それまでのスタンスを転換し、それぞれの宗教に対して異なった方法論を用いなかった。とくに、英米との対決構造が明確になるにつれ、この傾向はますます強まっていった。キリスト教の宣教師たちが半島を撤収したのち、仏教、儒教、キリスト教を戦争協力へと駆り出そうとした総督府には、もはや非西欧系宗教と西欧系宗教の区別は存在しなかった。この時期の総督府の宗教政策には、それまでの宗教政策に見られた方法論的な差異は存在しなかった。それらはすべて「直線的な政策」であった。