著者
室崎 益輝 岩見 達也
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.129-134, 1995-11
被引用文献数
1

〔研究の背景〕 私達の研究室は、阪神淡路大震災の被災地の真っ直中にあるということで、被災実態調査を行ううえで、調査に関連する情報が入りやすい、寝泊まりできる空間が確保できる、さらに必要な調査員の手配が可能であるといった「利点」を有していたために、各種の調査の基地として活用された。お得の調査団の基地となるとともに、多くの調査ボランティアィアの溜まり場ともなった。そのため、様々な調査をお手伝いするというか共同で実施する機会に恵まれた。例えば、筑波大学熊谷研究室と(株)まちづくり研究所とは、避難所のボランティア活動についての共同調査を実施した。(株)地域環境防災研究所とは、出火原因や延焼動態についての共同調査を実施した。そのなかの一つに、(株)野村総合研究所との共同調査がある。住民、自治体、ボランティア団体、職能団体、企業等のそれぞれについて、地震時の対応行動や日頃の防災対策について、アンケート調査を実施した。このなかでの私達の研究室の果たした役割は「名義貸し」程度のことであったが、アンケート結果については共有化しそれぞれが分析を加えるという形をとった。本報告はそのうちの企業に対する調査について私達神戸大学側が速報という形でまとめたものである。単純集計の域をでておらず研究論文といえるものではないが、企業の対応を知る一端にでもなれぱと思い報告するものである。今後、クロス集計などより緻密な分析を行い、有益な指針を引き出したいと考えている。 〔調査の方法〕 アンケートは、一部・二部上場企業および生命保険会社2,238社に対して、郵送により送付回収する方法(郵送留置法)で実施している。調査期間は1995年4月24日〜5月9日で、有効回収数は378票で回収率は16.9%であった。アンケート項目は、大きく(1)被害の実態、(2)震後の対応、(3)事前の対策、(4)支援の実態、(5)今後の対策に大別される。主な回答業種をあげると、商業関係企業57社、建設関連企業34社、化学関連企業32社、機械関連企業30社、銀行関連企業27社、輸送機器関連企業24社、電器機器関連企業21社、サービス関連企業20社などである。なお、被災地域内に本社をおくものは31社、支社営業所をおくものは208社、工場をおくものは51社、店舗をおくものは29社、倉庫物流拠点をおくものは56社であった。 〔調査の結果〕 本調査で得られた主な結論は以下の通りである。・約8割の企業は何らかの被害を受けている。・被災地に隣接する大阪に対策本部を設置した企業が多い。・地震時の対応マニュアルを作成していなかった企業が半数近く存在する。・人的支援をおこなった企業が5割、物的支援をおこなった企業が6割あった。・今後の対策として緊急時マニュアルや緊急時連絡網の見直しなどソフトな対策の強化をはかろうとする企業が多い。

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こんな論文どうですか? 16. 阪神・淡路大震災と企業の防災対応(室崎 益輝ほか),1995 http://t.co/P3MboJmf7E 〔研究の背景〕 私達の研究室は、阪神淡路大震災の被災…

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