著者
天国 邦博 呂 恒倹 望月 利男
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.29-41, 1995

人口密集地域の直下で発生したM7.2の1995年兵庫県南部地震は、神戸市を中心として、阪神・淡路地域において極めて大規模な人的、物的被害を与えた。災害に備え、同じ被害を二度と発生させないために、多くの研究者は、今回の地震災害、震災対応などに対して、様々な角度から調査、研究を行っており、震災に関する情報が多く報告されている。しかし一方では、今までの震災や、調査報告は、その内容がほとんど被害の大きい地域に関するものであり、被害規模が相対的に小さい地域に関する報告が比較的少ない。例えば大阪府のような被災周辺地域の被害については、せいぜいトータル的な人的被害と物的被害の集計値を報じ、被害内訳に関する比較的詳細な報告が少ないと思われる。このことは、大阪府などのような被災周辺地域における被害の報告は、神戸市、西宮市、芦屋市などの大規模被災に比べて、その規模が小さいために生じた調査、報告の偏りであると考えられる。しかしながら、災害の全体像を把握するためには、被害の波及範囲の究明が重要であり、震災周辺地域における被災様態に対する調査は不可欠と考える。また、被害規模が比較的小さい地域に対する調査、分析は、重大な被害を受けた地域に対する相対的・副次的現象、また、見落としやすい現象や、被災者及び避難者の実状などの掌握の補充に寄与するものと考えられる。本論文では、大阪府内の主な被災地である豊中市において発生した家屋被害、ライフライン・道路の被害をまとめ、これらの物的被害と地盤・地形および市街地形成時期との関係について考察を加えた。また人的被害に対して、被害原因の内訳、被災者の個人属性などについて検討を行った。さらに、避難者の健康状況、住宅所有などに対して考察した。

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覚書。1995震災時の豊中市の被災状況に関するレポート  http://t.co/kBu8PX1vkf
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