著者
高橋 佑磨 渡辺 守
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-17, 2008-03-25
被引用文献数
2

アオモンイトトンボの雌には,雄に似て鮮やかな青緑色の個体(雄型雌)と,隠蔽的な茶色の個体(雌型雌)の2型が出現する.この色彩2型に対する雄の配偶者選好性は学習によって可逆的に変化するとされてきたが,どのような経験が学習に関与するのかは明らかにされていなかった.羽化直後から雌と接触させずに飼育したアオモンイトトンボの雄(未経験雄)に対し,雄型雌と雌型雌を呈示する二者択一実験を行ったところ,雄の選択に偏りは認められず,雌に対する雄の選好性に生得的な偏りはないと考えられた.次に,未経験雄を,午前中,1頭の雌とともに小さなケージに入れ,その日の午後,または翌朝に同様の二者択一実験を行った.同居中にその雌と交尾した雄は,午後の二者択一実験で,同居していた型と同型の雌を選択したが,雌の拒否のために交尾できなかった雄の選択性には偏りが認められなかった.また,翌朝に行った二者択一実験では,同居中に交尾した雄の選択性に偏りが認められなくなった.したがって,雌の色彩2型に対する雄の選好性は,交尾の経験により変化し,一晩で消滅することがわかった.

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