著者
岡村 尚昌 津田 彰 石井 洋平 矢島 潤平
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学心理学研究 (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.105-114, 2006

本研究では,参加の同意の得られた健康な大学生94名(男性53名,女性41名,平均年齢18.6±1.0歳)を対象に,気分プロフィール検査(POMS),日本版状態一特性不安尺度(STAI)そして日本版精神健康調査票(GHQ-28)を用いて日常生活における気分の質や強度と,唾液から定量した唾液精神神経内分泌免疫学的(PNEI)反応[3-methoxy-4-hydroxyphenylglychol(MHPG)含有量,コルチゾール分泌量および免疫グロブリン(lg)A抗体産生量〕との関連性について検討した。PNEI反応と自記式質問紙によって評価した気分との相関分析を行った結果,男性の唾液free-MHPGは,不安・緊張,抑うつなどのネガティブな気分と関連が認められたが,女性では関連が認められなかった。唾液s-IgAに関しては,男女いずれの不安に関する項目と関連が認められた。唾液コルチゾールでは,男女ともに敵意一怒りや不安に関する項目と関連が認められた。また,PNEI指標を目的変数気分の下位尺度項目を説明変数とした重回帰分析の結果,free-MHPG,コルチゾール及びs-IgAが日常生活の気分の中でも特に不安,緊張状態を反映する客観的指標として有用であることが明らかとなった。以上の結果は,日常生活場面におけるネガティブ気分や心身の不定愁訴の自覚が唾液中のPNEI反応に反映されてくることを明らかにした。また,唾液のPNEI指標の反応を分析する際には,性差を考慮することの必要性も明らかにした。

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http://ci.nii.ac.jp/naid/110007183751

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