- 著者
-
鳥居 フミ子
- 出版者
- 東京女子大学
- 雑誌
- 日本文學 (ISSN:03863336)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, pp.12-46, 1984-09-30
我々が幼い頃から親しんでいる金太郎、あの、おかっぱ頭で、朱色の裸体に「金」の字の入った腹がけをつけ、足柄山の山奥で鉞(まさかり)をかついで熊にまたがり、動物を相手に相撲をとるという、力持ちで愛らしい金太郎は、どのようにして生まれたのであろうか。その誕生の過程を辿ってみると、説話的要素の演劇化、演劇的世界の文芸化・童話化の道筋をみることができる。長い年月を経て形成されてきた金太郎のイメージの定着のあとを追いながら、説話・演劇・文芸・童話のかかかり方を考えてみたい。