- 著者
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施 勤忠
安藤 成将
- 出版者
- 宇宙航空研究開発機構
- 雑誌
- 宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.P1-14, 2005-02
宇宙機には衛星分離機構、ソーラパネルやアンテナなどコンポーネントの展開機構に火工品が広く採用されている。これら機構の作動による衝撃は数千G に及ぶ非常に高い加速度と数十kHz の高周波成分が生じる。その結果、多くの場合において、加速度センサへ過大な応力が印加されることなどによって計測された加速度に「ゼロシフト」が発生してしまう。このようなゼロシフトを「完璧に」防ぐ方法はないと考えられているが、宇宙機開発の検証試験現場においては、実用上使用可能補正手法の開発が望まれている。本稿では、実用上重要な2 つの課題であるゼロシフトの判定方法、及び補正手法の手順の確立や信頼性について検討した。ゼロシフトの判定方法については、正・負SRS(Shock Response Spectrum)による判定法と速度による判定法がある。補正手法については、衝撃などの瞬時現象に最も適しているウェーブレットを用いた補正手法の手順を確立し、手法の信頼性について基礎実験による検証を行ない、本手法の有効性を確認した。