著者
杉原 丈夫
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.109-117, 1966

アリストテレスの様相三段論法を記号論理学的に研究することはベッカー〔1〕に始まり,ロス〔8〕,ボヘンスキー〔2〕,ルカシエヴィツ〔5〕,マッコール〔6〕,リシャー〔7〕,杉原〔9〕などによって次第に精緻な考察が加えられるようになった.このうち最初の3人はアリストテレスをできるだけ忠実に記号化し,彼の難点はそのまま難点として指摘する態度をとっている.杉原もほぼこの立揚にある.これに反してルカシエヴィツは彼独自の様相論理学に基づいてアリストテレスをはげしく攻撃している.しかるにマッコールとリシャーはアリストテレスに対して弁明的である.本稿は,一方においてルカシエヴィツの行き過ぎに反批判を与え,他方マッコールとリシャーの弁明の不備を検討し,アリストテレス解釈の中正な立揚を述べたいと思う.

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