著者
谷本 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.866-872, 2006-11-01
被引用文献数
12

20世紀にテレビは遠隔地の情景を居ながらにして見たいという人類の夢を実現したが,これは1視点の映像の伝達であり,しかもユーザはその視点位置を変えることができない.自由視点テレビ(Free Viewpoint TV, FTV)はこの制約を打ち破り,ユーザが自ら視点を移動して遠隔地の情景を見ることができる究極の三次元テレビである.私たちはFTVを構築するための技術開発を進め,撮影から表示までのすべてをリアルタイムで行うFTVシステムを世界で初めて構築した.また,PC1台での自由視点画像生成にも成功している.FTVは動画像の国際標準化会議であるMPEGに提案され,最も挑戦的な三次元映像メディアとして高い評価を得た.現在, MPEGにおいてFTVの入力信号である多視点映像の圧縮符号化の標準化が進められている.FTVは画像情報の根元である光線を取得,処理,再生するシステムである.私たちは光線再現型FTVの開発を通して,画素ではなく光線をベースとする新しい光線画像工学を創成している.無限個の眼をもつ時空間映像システムであるFTVは,写真,映画,テレビと発展してきた映像技術の頂点に立つ.FTVによって実世界の完全な記録や時空間での自由な表現が可能となり,新しい文化や芸術が創造される.

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こんな論文どうですか? 自由視点テレビFTV(<小特集>イメージメディアクオリティ論文)(谷本正幸),2006 http://id.CiNii.jp/e9dOL

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