著者
古田 加代子 伊藤 康児 流石 ゆり子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.5-16, 2005-11-01
被引用文献数
3

本研究では,移動能力があり,身体の障害も軽いにもかかわらず閉じこもっている高齢者には,心理的要因が大きく作用しているとの観点から,その心理的要因の構造を明らかにすることを目的とした.なお日常的な外出頻度が過1回以下の者を「閉じこもり」と定義した.A県O村に居住する65歳以上の高齢者を対象に,質問紙調査を行い,252名(男性109名,女性143名,有効回答率は80.5%)の回答から以下の結果を得た.1.閉じこもりの有無と関連のある心理的要因は「生活創造志向」「人生達成充足感」「穏やかな高揚感」「外出志向」の4項目であった.閉じこもり群は非閉じこもり群に比べ,この4因子が有意に低かった.2.「生活創造志向」の低さを予測する要因は,年齢が高い,1km歩行ができない,日常の時間が決まっていない,手段的サポートがない,の4つであった.3.「人生達成充足感」の低さを予測する要因は,年齢が低い,現在の体調が悪い,外出の不安がある,手段的サポートがない,の4つであった.4.「穏やかな高揚感」の低さを予測する要因は,現在の体調が悪いことであった.5.「外出志向」の低さを予測する要因は,性別が男性であることと,何らかの身体的不自由感があることであった.閉じこもり予防を目指した活動では,こうした心理的特徴をふまえた関わりが必要となる.

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