著者
野中 光代 古田 加代子 柴 邦代
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20190218050, (Released:2019-06-07)
参考文献数
27

目的:自閉症を伴う在宅重度知的障害者が誕生してから肥満に至った現在までの母親の肥満に関する認識と行動のプロセスを明らかにし,肥満の管理に関する看護支援を検討すること。方法:母親10名に体型の経過の中で記憶に残っている出来事について半構造化面接を行い,M-GTAを用いて分析した。結果:自閉症を伴う在宅重度知的障害者の誕生から肥満に至るまでの母親の認識と行動のプロセスは,母親は自閉症,重度知的障害によっておこる食事や多動の問題に必死に対処するうちに,〔自立困難な子への愛着〕にも助長され,肥満につながる【平和希求の食のパターン化支援】をせざるを得ず,さらに〈肥満の認知〉後は【減量のためのパターン崩し】を試みるが,【平和希求の食のパターン化支援】に傾きがちで肥満容認に至っていた。結論:看護への示唆として【減量のためのパターン崩し】の強化と【平和希求の食のパターン化支援】の弱化の必要性が示唆された。
著者
古田 加代子 伊藤 康児 流石 ゆり子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.5-16, 2005-11-01
被引用文献数
3

本研究では,移動能力があり,身体の障害も軽いにもかかわらず閉じこもっている高齢者には,心理的要因が大きく作用しているとの観点から,その心理的要因の構造を明らかにすることを目的とした.なお日常的な外出頻度が過1回以下の者を「閉じこもり」と定義した.A県O村に居住する65歳以上の高齢者を対象に,質問紙調査を行い,252名(男性109名,女性143名,有効回答率は80.5%)の回答から以下の結果を得た.1.閉じこもりの有無と関連のある心理的要因は「生活創造志向」「人生達成充足感」「穏やかな高揚感」「外出志向」の4項目であった.閉じこもり群は非閉じこもり群に比べ,この4因子が有意に低かった.2.「生活創造志向」の低さを予測する要因は,年齢が高い,1km歩行ができない,日常の時間が決まっていない,手段的サポートがない,の4つであった.3.「人生達成充足感」の低さを予測する要因は,年齢が低い,現在の体調が悪い,外出の不安がある,手段的サポートがない,の4つであった.4.「穏やかな高揚感」の低さを予測する要因は,現在の体調が悪いことであった.5.「外出志向」の低さを予測する要因は,性別が男性であることと,何らかの身体的不自由感があることであった.閉じこもり予防を目指した活動では,こうした心理的特徴をふまえた関わりが必要となる.