- 著者
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真澄 徹
- 出版者
- 学習院大学
- 雑誌
- 人文 (ISSN:18817920)
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.129-148, 2009
心理臨床家にとって、自分自身の心理過程を検討することはクライエントを理解することと同様に極めて重要である。「セラピスト・フォーカシング」はセラピストがある事例を担当するうえでの自分自身のフェルトセンスに触れることによって、体験過程の推進が生じるのを促す方法である。本研究は、セラピスト・フォーカシングの1 セッションを提示し、初心心理臨床家にとってのセラピスト・フォーカシングの意義について、セラピストは「何を」「どのように」してその過程で体験していくかを考察し、その上でセラピスト・フォーカシングとスーパービジョンの組み合わせについて検討した。その結果、セラピスト・フォーカシングがフォーカサーとガイドとの2 者関係の相互作用によって事例の理解を促すという点と、セラピスト・フォーカシングによりセラピストが体験過程に触れることにより、スーパービジョンに主体的に望むことができるという点が示唆された。