- 著者
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小林 茂之
- 出版者
- 聖学院大学
- 雑誌
- 聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.2, pp.237-248, 2009
古代日本語における主要部内在型関係節は,Kuroda(1974)や近藤(1981)によって統語論的観点から研究されてきた。黒田は,「の」が先頭位置を占めることに着目し,制約(the Pivot Initial Constraint) を提案した。これは,Kayne(1994)などの線状性に関する理論にとって興味深い問題であり,竹沢・Whitman(1998)は,Kayne の仮説に従って,日本語のDP 構造を分析している。当研究も,通時統語論的観点からこの仮説を検討する。近藤は,黒田より広い範囲の主要部内在型関係節を3タイプに分類した。本稿は,これらの一つから他の発達を構造の再分析を通した文法化として分析する。音韻的縮約は文法化を示す(Roberts and Roussou 2003)。本稿は,「の」の変化に伴うアクセントの縮約を指摘し,これが「の」の再分析を支持することを論じる。