著者
芳賀 彰子
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.293-302, 2010-04-01

発達障害は,遺伝要因と環境要因が相互にかかわりあい発現する多因子疾患ととらえられている.近年は発達障害の発現に負の養育環境とのかかわりが注目されている.負の養育環境要因には,母親の妊娠中の飲酒/喫煙,妊娠/出産後のうつ,不適切なしつけと虐待行動,家族機能不全などがある.シンポジウムでは,知的に正常な発達障害がある母親を対象に心身医療が発達障害治療に果たす役割について母子臨床の視点から考察した.発達障害児を養育中で知的に正常な発達障害がある母親の養育環境は,妊娠中より続くうつ状態,心身症と不安/気分障害の併存,物質使用障害,夫婦間葛藤,虐待行動が,発達障害のない母親に比べ有意にみられた.発達障害がある母親の心身医療へのニーズは高い.発達障害児/者のよりよい未来に向け,負の養育環境の世代間伝達を防ぐために,心身医療が発達障害治療に果たす役割は大きい.

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発達障害児を養育中で知的に正常な発達障害がある母親の養育環境は、妊娠中より続くうつ状態、気分障害の併存、物質使用障害、夫婦間葛藤、虐待行動が、発達障害のない母親に比べ有意にみられた。発達障害がある母親の心身医療へのニーズは高い。http://t.co/pO1BVIX3

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