- 著者
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加茂 浩靖
- 出版者
- 日本福祉大学
- 雑誌
- 日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
- 巻号頁・発行日
- no.40, pp.133-142, 2010-03-31
本研究では, 人材サービス業にとって主要な労働力調達地域である国内周辺地域を対象に, 人材サービス業で就業する労働者の就業状況を分析し, この産業への労働力供給の要因を考察する. このため, 鹿児島市の 17 の人材サービス事業所で得た聞き取り調査の結果, および就職説明会参加者 68 人に対する聞き取り調査の結果を用いて分析を行った.労働者データの分析の結果, 人材サービス業での就職を希望する最大の理由は 「賃金支給額の多さ」 であり, 賃金の地域差がこの地域からの労働力供給の要因になっている. ただし, 年齢で動機や就業行動が異なると考えられるため, 回答者を 35 歳未満と 35 歳以上に分類して分析すると, 35 歳未満の若年者とりわけ単身者では, 条件の良い職業を求めて短期間で転職を繰り返している点が特徴的である. これに対して 35 歳以上の中高年では, 製造業務の経験を生かせる職業を求めて人材サービス業に応募している点が特徴的である. 後者には直接雇用での製造業務経験者が 57%と多く, 近年減少した直接雇用求人の代わりに人材サービス業を選択している.