著者
毛利 良一 Ryoichi Mohri
雑誌
日本福祉大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.33-60, 2015-09-30

本稿は,「広島・長崎への原爆投下から福島第一原発崩壊へ」をメインタイトルに,「日米核同盟,核燃料サイクル,原発の新増設・脱原発を中心に」をサブタイトルにする.狙いは,①原爆投下地広島・長崎の非戦闘員・一般住民が無差別かつ大量に殺傷(両市の死者は20万人超)されたこと,②福島第一原発崩壊による無辜の住民(およそ10数万人)が長期にわたる避難生活を余儀なくされていること,③1953年のマーシャル諸島近海のビキニ環礁で静岡県焼津のマグロ漁船「第五福竜丸」が被曝をし,世界に例を見ないマルチ被ばく国日本という国が,「日米原子力協定」という日米核同盟に繋がっていることの政治経済学的意味,④地球上では米・英・独など西側主要国が中止するに至った核燃料サイクル政策の分裂,すなわち他方でフランス,ロシア,さらには新興中国と並んで日本が追い求めている理由と展望,⑤福島第一事故後の世界でルネッサンスとも呼ばれる原発推進や新規導入,原発輸出に走る国々の思惑と,⑥脱原発を選択したドイツやスイスの政治的社会的決断の重みの比較,を私なりに整理してみたいと考えたからである.「マンハッタン計画」および広島・長崎への原爆投下から始めたのは,原発の歴史および根源を理解しておくためである.福島の被災地の住民の状況や日本国民の選択をむすびで書きたかったが不勉強ではたせなかった.原発推進国と対比してドイツ国民の脱原発で稿を閉じるのは,地球世界の連続と不連続を統一的に把えたいと考えたからである.「戦後70年」における私なりのひとつの総括としたい.
著者
原田 忠直 大島 一二 Tadanao Harata Kazutsugu Oshima
雑誌
日本福祉大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.75-92, 2014-09-30

マカオでは,2002年にカジノ経営権の国際入札が始まり,アメリカ・香港を中心に巨額な資本が投下されている.なかでも,カジノ産業だけではなく,宿泊施設・飲食店・ショッピングモール・劇場等のレクリエーション施設・展示場・会議場,さらにその他の観光施設等からなる複合的な「統合型リゾート」の建設が進められている.そして,この「統合型リゾート」を核として,マカオは劇的な経済成長を遂げ,雇用の確保,高福祉の実現など,多くの恩恵をマカオの地元住民に与えている.しかし,その陰で,低学歴層を中心に就業・生活面で「周辺化」されつつある人々,犯罪率の増加などの課題も存在している.
著者
山上 俊彦 Toshihiko Yamagami
雑誌
日本福祉大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.173-200, 2010-09-30

現在の日本において貧困は深刻な社会問題となっている. 1990 年代後半以降, 格差問題が活発に議論されていたが, 焦点は貧困問題へと移行している. 先進諸国において, 従来の社会保障制度は働く貧困層 (ワーキング・プア) の増加に対応できない状況となっている. 貧困問題に真摯に対応することは社会の基盤を構築する上で重要であり, 最低所得を保証するものとして負の所得税やベーシック・インカムが提起されてきた. 欧米の先進諸国では, ワークフェアの一環として, これらを基礎とした税額控除制度が実施されているところである. 福祉国家という概念は, リベラリズムや自然権のみならず, 自由主義思想の影響も受けている. 日本においても社会保障制度を再構築するために制度の哲学的基盤を整備する必要性がある.
著者
安宅川 佳之
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.40, pp.1-32, 2010-03-31

民主党の 「子ども手当の給付」 等 「所得移転政策に重点を置いた少子化対策」 が功を奏しても, 人口構成が若返りを開始するのは早くても 30 年後からであろう.少子高齢化によって深刻化する社会保険財政問題を解決するために, 社会保障制度は不断の改革を進める必要がある. また, 異常ともいえる少子化現象を回避するためにも, 年金・医療・介護の社会保障制度の在り方を見直す必要がある.公的年金保険制度の財政安定化のためには, 第 1 に, 年金財政に対する直接的対策 (給付の削減もしくは掛金の引上げ) が必要である. 2004 年改革時には想定できなかったデフレ現象によって, 毎年上昇を続けている所得代替率を引き下げる措置などが必要である.第 2 に, 若年労働者の就業環境の改善や保険料支払支援によって, 年金納付率を引き上げることは, 将来の生活保護所帯の増加を抑制させる重要な施策である.第 3 に, 根本的解決手段は, 適切な 「少子化対策」 の実行であることは言うまでもない.民主党を中心とする新政権は, 最低補償年金制度を導入, 「基礎年金の全額税負担」 を政策方針に掲げているが, 社会保険制度と高齢者福祉政策としての生活保護制度の役割分担を明確にする必要がある.医療保険制度の財政対策としては, 現在実施されている医療費適正化の二本柱, 高齢者の健康増進のための 「生活習慣病対策」 と, 医療の効率化を目指す 「平均在院日数の短縮」 は引き続き重要な課題であろう.長寿医療保険制度は 「はしご受診」 等のモラルハザード現象を防ぐことに加え, 国民健康保険に集中する高齢者医療費負担を健康保険組合等が均等に負うことにある. その意義は十分に評価すべきだが, 家族単位の負担原則復活に十分配慮する必要がある.日本医師会主導で形成されてきた診療報酬体系の見直しによって, 病院の勤務医と診療所の医師の間の労働条件や収入の格差が解消できれば, 医療サービスの質の向上にも資するものと期待できる. しかし, 医療の効率を高めるには, 医療機関の経営マインドを高める必要があり, 医療機関に非営利性を求め過ぎるべきではないだろう.日本は世界一高齢化しているのに, 社会保障費が比較的安価で済んでいるのは, 「医療に対する公的関与の手厚さ」 によることを肝に銘じるべきである.介護保険財政は, 労働力人口に占める後期高齢者の割合の増加 (2005 年 13.8%→2030 年 33.6%→2055 年 51.9%) により急速にひっ迫するであろう. 介護保険料引き上げに限度があるとすれば, 介護報酬引き下げへの強い圧力が働きがちである. つまり, 少子高齢化が介護保険制度の財政を通じて, 介護事業の経営に影響を与え, 介護労働者の労働条件に圧力をかける形となる. 介護保険制度の財政対策としては, 以下の 4 点が上げられる.第 1 に, 公正な基準による要介護度認定・施設入所判定の厳格化,第 2 に, 家族介護に現金給付を実施すること,第 3 に, 高度のサービス提供には高い報酬を求めること,第 4 に, 事業所の統合による経営力の向上を政策的に促進すること.
著者
毛利 良一
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.4, pp.41-64, 1992-01-31

The debt crisis has been with us for a long time - since before 1982. The burden of adjustment is still on the debtor countries. This paper is intended to represent the developments of measures of the U. S. government and banking community to solve the debt crisis. The initial approach - new money plus rescheduling with IMF conditionality - has remained the basic way in which the debt is being handled. In the second phase the U. S. Treasury Baker put stress on the role of the World Bank and the growth-oriented, structual adjustment strategies. The third phase is characterized by the strategy of debt and debt-service reduction, which signaled a reversal of the U. S. position. The test case for the new U. S. initiative proposed by Secretary Brady was Mexico, and the following beneficiaries are the Philippines, Costa Rica, Venezuela, Morocco, and Uruguay so far. Market-oriented measures and privatizations have been adopted and carried out in these countries as well as other debtor countries. But unless social justice, narrowing the income gap is acquired in the Third World, debtors and creditors will continue to muddle through the next decade.
著者
楠田 康之
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.41, pp.201-208, 2010-09-30

この研究ノートでは,ロスチャージ問題をモラルハザードの観点から検討するため,単純なモデル設定によってその経済的な意味を考察し,その上で問題点を指摘する.そのために,フランチャイズ本部が「小売価格を加盟店の代わりに設定できる」「加盟店に対して発注量を強制させることができる」という垂直的制限の仮定の下,ロスチャージ会計の持つ経済的意味をモラルハザード防止の観点から検討し,ロスチャージにそのような効果があるとしても,それはそのような垂直的制限が前提となっていることも明らかにする.
著者
山上 俊彦
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.43, pp.127-152, 2011-09-30

2010 年のノーベル経済学賞はサーチ理論の開発と労働市場分析への応用に貢献した Diamond, Mortensen, Passarides 教授に授与された. サーチ理論は摩擦の存在を前提としているため, 労働者の求職行動や企業の求人行動, 賃金決定の分析に有用である. これらにマッチング関数を組み合わせることで UV 曲線の理論的根拠が与えられる. このような均衡失業理論のフレームワークは DMP モデルと呼ばれており, Walras 型労働市場に替る仕組みを提供するものである. DMP モデルは失業構造の解明, 賃金決定方法, 社会的最適条件の在り方, 雇用政策の効果の検証に多くの知見を与えるものであるため, 労働市場分析の標準モデルとなっている.
著者
青木 美智男
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.2, pp.37-56, 1991-01-30

The sudden arrival of the U. S. naval warships (consists of two steam ships and two sailers) lead by Admiral Perry, Cormander of East India Naval Force, at Uraga Harber on June 3, 1853 (HANEI, 6th) and verious responses of the Tokugawa Goverman [Tokugawa Bakufu] have been well discussed by many historians. It is, however, little known the fact that Tokugawa Goverment was notified of the Perry's plan by Holland Governt one year prior to his sudden visit to Uraga Harber. The paper discusses the Tokugawa Government's verious responses preparing for the visit, upon Holland natifications. The Tokugawa Government's struggle in dealing with this problem went on for one year prior to the Uraga incident.
著者
毛利 良一 Ryoichi Mohri
雑誌
日本福祉大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-25, 2006-02-28

This article aims at examining the virtues and vices of water privatization in Manila, the Philippines after 1997.The first part covers the worldwide development of water privatization from the viewpoints of the model of Pubic-Private-Partnership, Private Sector Development Strategy of the World Bank and water multinationals. The second part analyzes the rule, promise of the privatization bid and performances of water services for the poor after the privatization. The third section focuses on the charge hike-up muddle of the two concessionaires and pull-out plan of French water giant Suez from Manila.The final part draws some assessments and lessons from both the promoting side and critical side of water privatization in Manila.
著者
新谷 司 Tsukasa Araya
雑誌
日本福祉大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.169-206, 2011-03-31

本稿の目的は研究が関与方法の選択であるという前提に基づいて, イギリスを発祥地とする学際的会計学 (社会会計・環境会計を除く) の動向を俯瞰し, その特徴を明らかにすることにある. 学際的会計学は主に解釈会計学, フーコー主義会計学及びマルクス主義会計学から構成される. 本稿の研究方法は文献研究である.
著者
毛利 良一
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.36, pp.7-35, 2008-03

「食のグローバリゼーション」 を, 農水産物の生産・加工・流通・販売 (貿易を含む) のプロセスに, 多国籍アグリビジネスや食品・流通・サービス産業の資本が大規模に進出し, 資本による包摂が深化している過程として捉える. 人口大国の BRICs (ブラジル, ロシア, インド, 中国) の経済成長の加速化が始まり, 魚介類など食料資源やトウモロコシをめぐる穀物市場とエネルギー市場間の争奪戦が熾烈化し, さらに穀物市場にもヘッジファンドなど国際投機資本がかかわるようになる一方で, 遺伝子組み換え食品が生態系に与える影響や食品の安全性問題が重要課題となってきた.日本では食料自給率が低下し, 穀物・油脂・肉類はアメリカから多くを輸入しているが, 野菜や加工食品では中国に対する依存を強めている. とくに中国山東省は, 日本企業による開発輸入の基地となっている. また中国食品の安全性に関する中国での取り組みについても, 聞き取り調査を踏まえて実態分析を行う.
著者
上田 和宏 Kazuhiro Ueda
雑誌
日本福祉大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.i-ii, 2012-09-30
著者
谷地 宣亮
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.40, pp.161-182, 2010-03

本稿では, 信用金庫が会員の, 信用組合が組合員の相互扶助を理念とし, 非営利という特性をもつ協同組織金融機関であることを確認した. また, 信用金庫の会員, 信用組合の組合員が地域の中小企業および個人であることから, 信用金庫・信用組合が中小企業金融の担い手であり, かつ地域金融の担い手として位置づけられてきたことも確認した. しかしながら, ①そもそも協同組織金融機関における相互扶助, 非営利とは何か, ②相互扶助性ないし協同組織性が弱まってきているとされる中で, 信用金庫・信用組合が協同組織形態をとり続ける必要はあるのか, ③信用金庫・信用組合にしかできないことは何か, ④信用金庫・信用組合と業務の面で競合する点の多い地域銀行とどのように差別化をはかるのか, ⑤信用金庫と地域信用組合のあり方, 業域信用組合と職域信用組合のあり方はこれまでのままでよいのか, などの点については, これまで金融制度調査会や金融審議会の場では十分に議論がなされておらず, 研究課題として残されていることを指摘した.
著者
今井 正幸 Garrigue Anne 今井 正幸
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.23, pp.173-195, 2001-06-30

In these decades, there been a considerable number of critiques viewing Japan, which have been performed and published by western experts. Amongst them there is a difference between those of Anglo-American versus European authorship: It has been observed that the former give us the impression of not only criticizing Japan severely, but also of urging their own standards of value upon the subject country; while the latter do not show such a tendency to force their own behavior upon Japan.This book, published quite recently by two French journalists, tries to describe to the greatest extent possible, the Japanese economic political and social affairs. The authors do turn severe eyes on certain things, yet they do not force the reader to follow European models. In the 7 chapters into which the book is divided, the authors have tried to capture in their observations the overlying rhythm of the process of Japan's economic development, while also extracting the contradictions existing at the bottom of its industrial and social structure, such as the double structure differentiating huge companies from small and medium scale companies.Further, following the passing stages of the process, they note the illusion of the golden age, and analyze in a well integrated manner the several elements which have caused the profound troubles during the decade of the 1990s. As an inevitable orientation for the coming new 21st century, Japan needs to and should change its entire structure, taking paths other than the traditional Japanese model, not only for the sake of renewing its own development, but also for the surrounding partner countries in Asia.The authors with their keen eyes and balanced observers' minds, describe the evolution of reforms taken by the Japanese government as well as their results, such as a huge amount of public debts, and a structural change in employment which has brought a significant turn in workers' minds.The long continued economic recession, with daily reports of restructuring of enterprises accompanied by the firing of a lot of salaried employees, have visibly and deeply changed the Japanese people's belief in their society. Inevitably, they have become apathetic in the political world, lost confidence in their leading power elites, and now there appears an individualism which is new to the Japanese way. In addition to those phenomena, the authors point out several elements and power groups who dare to hinder the evolution of improvement and renovation aimed at the solution of the innumerable troubles.In the last chapter, titled "The giant is not dead", the authors analyze both the historical and present relationships of Japan with the surrounding countries in Asia, especially China, and make one sort of recommendation in the field of international politics, concerning Japan's responsibility for events during the war period, including indemnity.As for Japan's relations with the United States, there are not many assertions other than to remark upon the former's non-achievement of complete independence from the latter's dominance. Japan has turned its head toward Europe, and particularly France, due to the successful evolution of the European Union, as well as to the consensus found between the two parties on defending themselves against American globalization.In conclusion, briefly but firmly, the authors confirm their belief in the future possible renovation and improvement of Japanese society and its external relations owing to the people's racial characteristic of patience by which they could overwhelm any kinds of difficulties to be encountered on the way of Japan's development in the near future.
著者
原田 忠直 大島 一二
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.49, pp.75-92, 2014-09-30

マカオでは,2002年にカジノ経営権の国際入札が始まり,アメリカ・香港を中心に巨額な資本が投下されている.なかでも,カジノ産業だけではなく,宿泊施設・飲食店・ショッピングモール・劇場等のレクリエーション施設・展示場・会議場,さらにその他の観光施設等からなる複合的な「統合型リゾート」の建設が進められている.そして,この「統合型リゾート」を核として,マカオは劇的な経済成長を遂げ,雇用の確保,高福祉の実現など,多くの恩恵をマカオの地元住民に与えている.しかし,その陰で,低学歴層を中心に就業・生活面で「周辺化」されつつある人々,犯罪率の増加などの課題も存在している.
著者
舘 健太郎
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学経済論集 (ISSN:09156011)
巻号頁・発行日
no.30, pp.115-123, 2005-02-28

Most criminal cases are resolved out of court by plea bargaining in the United States. Plea bargaining is similar in form to an economic transaction, so the principles and tools of economic analysis are useful to investigate its effectiveness. This paper briefly reviews some important aspects of plea bargaining, such as its effects on the judicial system and criminal activity.
著者
岡本 眞理子 Mariko Okamoto
雑誌
日本福祉大学経済論集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-12, 2015-09-30

少額の融資をあつかうマイクロファイナンス機関は,発展途上国の農村住民,とりわけ女性達に金融へのアクセスを可能にし,金融インフラを実質的に提供してきた.しかし,その中には,メキシコのコンパルタモス銀行のように,実効年利子率が100%を超える高金利で無担保融資を行ってきたところがある.それらの金融機関の利子率はなぜそれほど高いのかについて,想定される諸要因を他のマイクロファイナンス機関と比較しつつ検討した.その結果,極めて小額であり短期貸し付けであることや,融資方法と地域特性のゆえに運営費が極めて高くなることが主たる要因であることを明らかにした.また,借り手にはなぜそれが受け入れられているのかについて,現実に支払われる利息額の小ささ故に事業を圧迫するものとはならないことを示し,また短期ローン利子率の年利換算が借り手にとっては重要ではない可能性を示唆した.