- 著者
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加茂 浩靖
- 出版者
- 経済地理学会
- 雑誌
- 経済地理学年報 (ISSN:00045683)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.2, pp.93-115, 1998-05-31
- 被引用文献数
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本研究の目的は, 労働市場特性の地域性をもとに, わが国における労働市場の地域構造を把握することにある. このため全国を452の職安管轄区域に区分した単位地域について, (1)有効求人倍率, 雇用保険受給率, 1人当たり製造業賃金, 一般求職者の県外就職率の4つの指標を用いてその地域的パターンを示し, (2)クラスター分析を用いてその類型化を試みた. また分析に際しては, 職安管轄区域の都市的中心性および中心・周辺関係を重視した. その結果, (1)1985年の分析から, 職安管轄区域は, 賃金水準が相対的に高位にある関東地方と西日本の太平洋ベルト地帯, 労働市場の状態が劣悪な国土の縁辺部, この両者の間に広域的に展開し, 有効求人倍率において比較的良好な状態にある地域, の3つの地域に分類されること, (2)1985年と1993年を比較すると, 国土の縁辺部において労働市場状態の改善が顕著であったこと, また, 都市的中心性の低い地区においても労働市場状態の改善傾向が確認され, この変化によって, 労働市場特性の都市的中心性階層間の格差が縮小したこと, (3)1人当たり製造業賃金については, 中心地帯で高く, 周辺地帯で低いという地域性にほとんど変化がみられなかったこと, (4)1985年と1993年を通じて, 県庁所在地区は, それぞれの県のなかでも比較的良好な労働市場状態を示すこと, などが明らかになった.