- 著者
-
池内 慈朗
- 出版者
- 美術科教育学会
- 雑誌
- 美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
- 巻号頁・発行日
- no.30, pp.65-79, 2009-03-21
本論考では,「感性」というあいまいさを含む概念を解釈すべく,海外の諸領域での異なったアプローチから感性を様々な角度より浮かび上がらせ検討を試みた。(1)「言語と思考」の研究からの解釈,サピア-ウォーフ仮説,文化と言語の関係,(2)J.J.ギブソンのアフォーダンス理論と,ネルソン・グッドマンの流れを受け継ぐガードナーの考えをもとに,シンボル・システム理論との関係について考察した。(3)アナロジー,メタファーは抽象的な情報を抽出し,その類似性を比較し事象の「見立て」「意味づけ」の対応づけである。アナロジー,メタファーは感性を引き出すのに重要な役割があり,イメージ・スキーマはそれらが働く前段階であり,カテゴリー化による構造化された知識と,それを創造的に用いようとする我々のimaginationが見出せる点が明らかになった。日本人特有の「感性」についても考察した。