- 著者
-
池内 慈朗
- 出版者
- 美術科教育学会
- 雑誌
- 美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
- 巻号頁・発行日
- no.31, pp.43-54, 2010-03-20
本稿は,幼児教育で有名なイタリアのレッジョ・エミリアとハーバード・プロジェクト・ゼロの共同研究Making Learning Visibleプロジェクトについて考察を行うものである。MLV Projectでは,ドキュメンテーションを用いることによって,学習を「可視化」することが中心的な役割りを果たす。また,ドキュメンテーションは,ポートフォリオの利点も兼ね備え,小グループでの学びを「可視化」する次世代の学習ツールとして,プロジェクト・ゼロは期待をもって推進している。グループ学習をドキュメンテーション化することで子ども達にグループ・アイデンティティの感覚が生まれ,「個の学び」とは異なったグループでの「協同の学び」が生まれる。MLVの研究を進めていく過程で,1970年代後期より,レッジョ・エミリアとプロジェクト・ゼロは教育哲学が近いところにあり互いに影響を与え合ってきたという結論を得た。