著者
東 俊一郎 喜多 雅一
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.1-10, 2008-11-30
被引用文献数
1

高等学校で使われる「化学I」の教科書の大多数が,アルカリ金属と水との反応をナトリウムに代表させて,生徒実験として取り上げている。また,「理科総合A」の教科書のうちにも,同様の生徒実験を扱っているものがある。この実験の主要な部分を占めるのが,水素が発生することをマッチの火で点火したときの爆発音で確認する操作である。ところが,教科書で指示されている方法やナトリウム片の大きさでは,爆発音が確認できない場合が多い。この理由は,発生する水素の体積と,水素が捕集されていてマッチの火を近づける容器の容積との関係が十分に検証されていないことに起因する。本稿では,爆発音を発生させるのに必要な,水素の容器に対する体積の比を測定して,100%の確率で実験の目的が達成できる条件を求めた。ナトリウムが水と反応する実験は簡単に行うことができる。この反応とともに重要なのが,ナトリウムと塩素が直接反応して塩化ナトリウムを生成する現象である。しかし,この実験は,反応が激しく危険であると考えられているのか,生徒実験で扱っている教科書はない。ところが,実験の方法を工夫すれば,非常に印象的な実験を,安全にかつ簡単にできることがわかった。

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