著者
稲垣 卓造 飯島 祥二
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.308-318, 2009-12-01
被引用文献数
1

室内仕上げ面の光沢が、室内の雰囲気評価とそこで想定される行為の選択にどのような影響を与えるかを実験で確かめた。実験変数として、光沢以外にも両者に大いに影響を与えると考えられる色彩、光源、家具配置などを組み込んだ。9要因を組み合わせた27の室内模型をプロジェクターで投影し、20人の被験者を対象に実験を行った。実験計画は、直交配列により9つの主効果と2つの交互作用が吟味できるよう割り付けた。雰囲気評価の結果を因子分析にかけたところ、3因子が抽出された。ぬくもり、静穏さ、清新さと名付けた。壁と床の色相、壁の光沢、パーティションの高さと家具配置の交互作用が雰囲気評価に大きな影響力をもたらすことが明らかとなった。行為の選択についても3因子が抽出された。くつろぎ、知性、孤独と名付けた。ここでも、床の光沢の主効果と、パーティションの高さと家具配置の交互作用が目立った効果を示した。双方の結果から、半光沢の仕上げが「中途半端であいまいな」印象を与えるためか、好ましくない結果を与えることが明らかにされた。また、パーティションの高さと家具配置の交互作用も大きなウエイトを占め、光沢とともに空間構成と人間の行動に大きな影響力を与えることも明らかとなった。

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