著者
藤井 伸二
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.3-15, 2010-05-30
被引用文献数
3

京都府に位置する芦生研究林の枕谷において、シカ摂食圧の顕在化にともなう開花植物相と開花株数の変化を調査した。その結果、開花植物の種数は84種から56種に減少していた。開花株数の増減評価を行った77種の内訳は、顕著に増加したものが8種、顕著に減少したものが47種であった。22種は地域絶滅した可能性がある。大形の植物種において減少種数の割合が高く、小形の植物種については増減変化の顕著でない種数の割合が高かった。開花時期を検討した結果、春咲き種群に比べて初夏・夏咲き種群と秋咲き種群での減少種数の割合が高かった。したがってシカ摂食の影響評価のためには植物体サイズと開花時期の両方の形質が重要と考えられる。推定開花株数とシンプソンの多様度指数の季節変化パターンは大きく変化したことが明らかになり、開花植物を利用する訪花昆虫や植食昆虫に対する植物の季節的群集機能の変化が示唆された。

言及状況

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芦生研究林枕谷におけるシカ摂食にともなう林床開花植物相の変化(日本語、オープンアクセス) https://t.co/T89ase2lMW シカ増加以前(1990年前後)とシカ増加後(2007年)で林床開花植物種数について比較した結果、開花植物の種数は大きく減少していました。

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