著者
服部 保 岩切 康二 南山 典子 黒木 秀一 黒田 有寿茂
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.47-59, 2010-05-30
参考文献数
23
被引用文献数
2

宮崎神宮には照葉樹等の植林後約100年経過した照葉人工林等が保全されている。植林後の年数が明確な本樹林は各地で形成されている工場緑化林や緑地帯などの照葉人工林における植生遷移の予測や生物多様性保全の可能性および孤立林の維持管理方法などについての課題を明らかにする上でたいへん重要である。本社叢の種組成、種多様性、生活形組成の調査を行い、照葉二次林、照葉自然林、照葉原生林との比較を行った。宮崎神宮の社叢は林齢約100年の照葉人工林と林齢約45年の針葉人工林から構成されており、社叢全体に118種の照葉樹林構成種が生育し、その中には絶滅危惧種も含まれていた。植栽された植物を除くと多くの植物は周辺の樹林や庭園から新入したと考えられた。照葉人工林の種多様化に対して隣接する住宅地庭園の果たす役割が大きい。照葉自然林の孤立林に適用される種数-面積関係の片対数モデル式および両対数モデル式を用いて宮崎神宮の社叢面積に生育すべき種数を求めると、前者が119.0種、後者が158.6種となり、前者と現状の調査結果とがよく一致していた。後者の数値が適正だとすると宮崎神宮に十分な種が定着できないのは、地形の単純さと考えられた。社叢の生活形組成では着生植物、地生シダ植物の欠落や少なさが特徴であった。種多様性(1調査区あたりの照葉樹林構成種の平均種数)をみると宮崎神宮の照葉人工林(20.4種)は照葉原生林(42.9種)、照葉自然林(32.9種)と比較して、非常に少なく、照葉二次林ほどであった。1調査区あたりの生活形組成も照葉二次林と類似していた。宮崎神宮の照葉人工林は林冠の高さやDBHなどについては照葉自然林程度に発達していたが、種多様性、生活形組成では照葉二次林段階と認められた。

言及状況

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宮崎神宮社叢の種多様性の特性 Structure, species richness, and species composition of the shrine forest in Miyazaki-Jingu, Miyazaki Prefecture  http://ci.nii.ac.jp/els/110007618294.pdf?id=ART0009435851&type=pdf&lang ...

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