著者
藤本 幸雄 山元 正継
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.127-144, 2010
参考文献数
93
被引用文献数
1

白神山地には七つ滝,大沢川南部・北部,菱喰山,白神岳複合の白亜紀花崗閃緑岩体が分布し,花崗岩・トーナル岩を伴う.白神岳東部岩体はドーム,中央部岩体は南東開きベーズン,西部岩体は北開きベーズン構造で,西部・中央部岩体間に左横ずれマイロナイト帯が位置する.白神山地ではRb-Sr全岩アイソクロン年代が110Ma,鉱物K-Ar年代が89Maのマグマ活動(白神岳東部,西部,大沢川南部,七つ滝)と,白神岳東部岩体と同源の磁鉄鉱系トーナル岩質マグマが,深部で地殻物質を同化して生じたと考えられる菱喰山花崗閃緑岩質マグマ活動が,Rb-Sr全岩アイソクロン年代86Ma,黒雲母K-Ar年代71Maにあった.また66Ma頃に300℃程度に冷却する花崗岩質マグマ活動が続き,西部では左横ずれせん断帯の活動と白神岳西部岩体の上昇運動も重複して西部岩体を変形させた.既報の放射年代値から,北上帯花崗岩類はRb-Sr全岩アイソクロン・角閃石と黒雲母K-Ar法とも135-105Maで比較的急冷を,阿武隈帯は125-100Ma,120-95Ma,115-85Maと閉鎖温度の低下とともに若く徐冷を示す.朝日・八溝・筑波山地は110Ma以降複数回の花崗岩活動があった.SrI値の年代変化は北部北上がII帯からIV帯に漸増,南部北上は0.7045以下で漸増,阿武隈帯は0.7047-0.7052で漸増,朝日・八溝・筑波山地は0.7048以上で急増する.放射年代とSrI,NdI値から,白神・太平山地の花崗岩類は阿武隈花崗岩類に対比される.

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