著者
酒井 朋子
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
no.11, pp.43-62, 2005-06-11

本稿は、深刻な民族的・宗派的対立が継続してきた北アイルランドにおいて、第一次大戦戦死者がいかにユニオニズムの英雄として語られてきたのかを論じるものである。とくに大戦と名誉革命期の戦いとを重ねあわせる語りや記念行事に着目し、その形成過程、ならびにその後の大戦解釈への影響力を検討する。多くのユニオニストが戦死した第一次大戦下のソンム会戦は、その開戦の日付がユニオニズム・シンボルであった名誉革命期ボイン戦の記念日と一致していたため、ボイン戦に結び付けられて語られ記念されるようになっていった。戦後50年を経ると、穏健派のユニオニスト政権の登場もあって、二つの出来事の重ねあわせを否定し戦場の悲惨さを強調して戦争を脱神秘化しようとする語りが公の場に現れるようになる。しかし紛争激化以降、強硬派の武装組織は、名誉革命を想起しつつ惨死を遂げていった悲劇的英雄として戦死者を描出し、自集団のシンボルとして大戦を掲げていくのである。

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