著者
杉本 隆司
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.51-74, 2010-06-30

「フェティシズム」概念の創始者ド・ブロスは、宗教の起源を論じた『フェティシュ神』(一七六〇年)の著者であると同時に、一八世紀に流行した言語起源論の論者でもあった。その書『言語形成論』の刊行は『フェティシュ神』の五年後であり、言語起源論への関心は宗教起源論よりも後にみえるが、実際は逆であり、彼の本来の主題は言語起源論にあった。本稿では、まずド・ブロスの宗教起源論を分析し、フェティシズムという概念が、一七世紀末からはじまる啓蒙思想の内部で開花した生得観念批判や、その時代の唯物論的・経験論的思考の文脈で形成された点を確認する。つづいて『言語形成論』の分析へすすみ、そこで主張された語源学の役割と、それの神話学への応用という主張を、彼の宗教起源論と突き合わせ、偶像崇拝ではなくフェティシズムという概念をド・ブロスに要請させるに至った、彼の語源学固有のロジックを明らかにし、この概念がもつ新たな射程を示す。

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