著者
引原 隆士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.943-950, 2010-08-15
被引用文献数
5

スマートグリッドに関連した用語が新聞の紙面で飛び交い,昨今基盤技術として先進の技術からは顧みられることが少なくなっていた電力・エネルギー分野が,情報技術の適用にとって新しいフロンティアとして着目され,新しいエネルギー技術,持続可能社会実現への入り口として脚光を浴びている.動力を電気エネルギーに変換する発電機の発明は19 世紀に遡る.現在の交流電力の大規模ネットワークは,この発電機間を電力を融通する線路でつなぐと同一周波数に収斂する性質に依存している.この性質を維持しつつ必要な電力を供給する大規模システムの運用において,ICT 技術がブレークスルーを与える技術となり得るであろうか? スマートグリッドなどの技術がエネルギーシステムに革新を与えるか否かは,この点を抜きに議論することはできない.本解説は,人の生活環境,すなわち建物内からボトムアップに電力分野を通信・情報分野と融合させる手法として,電力パケットを導入する方法とそのルーティングの可能性を,周辺技術の現状に基づき述べる.

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