著者
Spatenka Karel 有田 豊
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.95-106, 1992
被引用文献数
1

著者らは日本から5新種,1新亜種と中国から2新種のスカシバガを見いだし記載した. 1. Synanthedon esperi Spatenka & Arita, sp. n.沖縄島与那で採集された1雌のみが知られている.本種はanal tuftが赤いことや腹部腹面が黄色であることから他の種とたやすく区別できる.食草や生態は不明. 2. Synanthedon multitarsus Spatenka & Arita, sp. n.本種は腹部背面第4節後縁にのみ1本のやや広いレモン色の帯をもつことで他の種と分けられる.ヤナギ類(北海道)やネコヤナギとカワラハンノキ(愛知県)から飼育によって多くの成虫が得られた. 3. Synanthedon yanoi Spatenka & Arita, sp. n.本種は腹部背面第2節と第4節後縁に黄色の細い帯をもつことで他の種と区別できる.北海道斜里郡小清水町と大分県黒岳からのみ知られ,食草その他のことは不明である. 4. Synanthedon pseudoscoliaefoyme Spatenka & Arita, sp. n.前翅のdiscal spotの形がヨーロッパのS. scoliaeforme (Borkhausen, 1789)に少し似ているが本種ははるかに小さく腹部背面第2節と第3節に白い帯をもつことで区別される.京都の宝ケ池で5月10日に1雌が得られただけである. 5. Synanthedon scoliaeforme japonicum Spatenka & Arita, sp. n.ヨーロッパのS. scoliaeforme (Borkhausen, 1789)に酷似するが日本産のものはより大きい. Anal tuftが基亜種ではオレンジ色であるが亜種japonicumでは黒いことが大きな差異である.基亜種の食草はシラカンバであるが本亜種も北海道斜里郡で川原進氏によってシラカンバの幹の根際より蛹が繭とともに発見され1雄1雌が羽化した. 6. Synanthedon fukuzumii Spatenka & Arita, sp. n.腹部背面に「赤帯」をもつSynanthedon属のいくつかの種に似るが本種は腹部第4節の後縁にのみ赤帯をもつことから他の「赤帯」の種から区別できる. 7. Sesia solitera Spatenka & Arita, sp. n.中国青海省日月山の高山帯(3500-4000m.)で得られた1雄のみが知られる.非常に特異な種で他に近似の種はない. 8. Similipepsis yunnanensis Spatenka & Arita, sp. n.中国北部雲南省のA-tun-tseの高山帯(約4000 m.)で得られた2雄をドイツ・ボンのAlexander Koenig動物学博物館のHoneコレクションより見いだした.本種はいわゆる腰の細い種類で日本のコシボソスカシバに良く似る. Yunnanensisでは腹部背面第3節と第6節にナレンジ色の帯をもつがtakizawaiでは第3節に帯はない.

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こんな論文どうですか? 東部旧北区のスカシバガの新種(鱗翅目,スカシバガ科)(Spatenka Karelほか),1992 https://t.co/agl4WZ4lOI 著者らは日本から5新種,1新亜種と中国から2新種のスカシバガを見いだし記載し…

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