著者
萩原 道雄
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
巻号頁・発行日
no.61, pp.45-48, 2010-06-25

経営倫理の欠如による企業不祥事は後を絶たないが、企業の持続的可能性を実現するためには経営理念に内包される経営倫理の企業構成成員への浸透・定着がなされることが経営における最重要戦略といえよう。社会はもとより地球環境における倫理的な企業は社会の信頼を獲得し社会を牽引する存在となり得るからである。経営倫理の浸透・定着に関して、これまでの視点では、企業構成員の仕事を通じての実現よりむしろ企業構成員に教え込むものされてきた。その教え込むための経営の仕組みが通達、訓示、教育・訓練などである。本稿ではLave=Wenger(1991)の状況的学習論、すなわち「状況に埋め込まれた学習(正統的周辺参加)」について述べ、正統的に周辺より実践共同体(企業)に参加する新参者が仕事に習熟する過程での実践共同体における内部的相互関係と社会的相互関係から、新参者のアイデンティティの変革と実践共同体の変革が起こり、相互関係的に実践共同体の掟(規範)と社会の掟(規範)の中に新参者(やがては習熟して十全者となる)が取り込まれる、すなわち、倫理が埋め込まれることを考察する。状況に埋め込まれた学習(正統的周辺参加)」理論のポイント明らかにし、次にこの理論に基づく学習・仕事環境を経営において実現するためのポイントを明らかにする。「状況に埋め込まれた学習(正統的周辺参加)」の理論においては学習とは正統的に周辺から実践共同体に参加することであり参加が学習であるとする。その理論は経営における、倫理が埋め込まれている、知の創造においての原型を示唆しているのではないかと考え、理論と学習・仕事環境のポイントについてネッツトヨタ南国の事例により検証する。

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メモ。 / “CiNii 論文 -  A-3 経営における状況的学習論と経営倫理に関する一考察(自由論題)” http://t.co/3KIVvLTzp4

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