著者
遊間 義一 金澤 雄一郎 遊間 千秋
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.35, pp.115-130, 2010-10-01
被引用文献数
2

オイルショック後の日本における少年による殺人事件の発生率に対する完全失業率の効果については,これまで十分な検討がなされていない.この間日本社会には大規模な変化が生じている.完全失業率と少年による殺人事件発生率の間に長期的に安定した関係(共和分関係)が存在したのか,あるいは,いずれかの時点で両者の関係に構造変化が生じたのであろうか.Gregory and Hansen(1996a,1996b)の残差を用いた構造変化を許容する共和分関係の検定を実施したところ,16歳と17歳の中間少年にも,18歳と19歳の年長少年にも,完全失業率と殺人事件発生率の間に安定した正の長期的関係が存在する一方,構造変化は認められないことが分かった.この結果から,完全失業率の増加は殺人発生率の増加を引き起こすことが理解できる.考察では,これらの結果の含意と,構造変化の可能性について検討した.

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