- 著者
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遊間 義一
金澤 雄一郎
遊間 千秋
- 出版者
- 数理社会学会
- 雑誌
- 理論と方法 (ISSN:09131442)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.149-168, 2012 (Released:2013-03-18)
- 参考文献数
- 39
本研究は,遊間・金澤・遊間(2010)に2年分のデータを追加して1974年から2008年までの,日本全国で起きた少年による殺人事件の発生率に対する完全失業率の効果及びその構造変化の有無を共和分回帰及び誤差修正モデルを用いて検証したものである.その結果,遊間・金澤・遊間では,見いだせなかった構造変化が,年長少年(18・19歳)において確認された.つまり,年長少年においては,完全失業率が上昇(下降)すれば殺人発生率も上昇(下降)するという正の関係が認められ,この効果の強さは調査期間を通じて変化がなかったものの,殺人発生率は2000年を境に急激に減少する傾向が認められた.他方,中間少年(16・17歳)では,遊間・金澤・遊間とほぼ同様の結果が得られており,完全失業率と殺人発生率との間に正の関係が認められたが,構造変化は見いだせなかった.年長少年の急激な減少について,1998年以降急増した自殺率や1990年代後半からの犯罪や少年非行への厳罰化傾向との関連から考察した.