- 著者
-
大湾 明美
佐久川 政吉
上原 綾子
- 出版者
- 沖縄県立看護大学
- 雑誌
- 沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
- 巻号頁・発行日
- no.11, pp.25-30, 2010-03
【目的】ケアマネジメントに不満を訴える事例の事例検討から、ケアマネジャーの援助技術向上のための役割を再考する。【方法】対象は、A居宅介護支援事業所と大学教員で事例検討した事例Bの事例検討会での討議内容である。方法は、1.5時間の事例検討の内容をテープで録音し逐語録をおこし、(1)対象の捉え方、(2)不満内容の状況、(3)不満への対応プロセスと居宅サービス計画への反映、(4)利用者本位の視点での事例提供者の自己評価について、整理分析した。【結果】1.対象の捉え方は、事例提供者は問題の多い問題解決困難なケースとしていたが、事例検討ではニーズ把握がしやすいケアマネジメント容易なケースとしていた。2.不満内容は、サービス事業所に対する不満(ヘルパーとリハビリスタッフへの不満)と保険者(介護保険制度)に対する不満であった。3.不満への対応プロセスは、可能な限り対応していたが、制度の狭間で本人のニーズには応じられていなかった。しかし、居宅サービス計画では、本人の意向の反映が不十分でズレがみられた。4.事例提供者の自己評価では、メディカルモデルの視点が強く、利用者本位のケアマネジメントに繋がりにくいと評価した。【結論】ケアマネジヤーの役割として、対象をプラス面やストレングスで捉える援助技術が求められる。不満も情報として受け止め、ケアマネージャーは居宅サービス計画に反映させることである。不満を訴える事例は、ケアマネジメントの援助技術を向上させる貴重な事例である。