著者
山口 初代 大湾 明美 佐久川 政吉 田場 由紀 榮口 咲 大川 嶺子 糸数 仁美 坂東 瑠美 前泊 博美 Yamaguchi Hatsuyo Ohwan Akemi Sakugawa Masayoshi Taba Yuki Eiguchi Saki Okawa Mineko Itokazu Hitomi Bando Rumi Maedomari Hiromi 沖縄県立看護大学 いけま福祉支援センター
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.15, pp.43-51, 2014-03

[目的]男性高齢者の新たな介護予防の支援方法を見出すために、A島の民泊事業に参加している男性高齢者の当事者の誇りから"生きがい就労"の実態とニーズを把握することである。[方法]研究協力者は、A島の民泊事業に参加している男性高齢者4名である。方法は、民泊事業の就労内容と就労のニーズの語りから、キーセンテンスを抽出し、辻らの生きがい就労のコンセプトである[働きたいときに無理なく楽しく働ける]、[現役時代に培ってきた能力・経験が活かせる]、 [高齢者の就労が地域の課題解決の貢献につながる]に照らして帰納的に分析した。[結果]生きがい就労の実態は、辻らの生きがい就労のコンセプト[働きたいときに無理なく楽しく働ける]、 [現役時代に培ってきた能力・経験が活かせる]、[高齢者の就労が地域の課題解決の貢献につながる]を包含し、[共生の理解に貢献する]の新たなコンセプトが導かれた。生きがい就労のニーズは、民泊事業を《島の産業として組織的に取り組みたい》、《食事サービスの質を向上させたい》、《老い(身体機能)に合わせて民泊がしたい》であった。[結論]A島の民泊事業は、男性高齢者の生きがい就労につながっていた。生きがい就労のコンセプトに[共生の理解に貢献する]が加わっていた。男性高齢者は、地域の課題解決の主役としての役割が発揮できる存在であることを示唆していた。介護予防のために生きがい就労を推進するという新たな介護予防の支援方法が必要であると考えた。
著者
野口 美和子 大湾 明美 石垣 和子 北村 久美子 山崎 不二子 植田 悠紀子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、島嶼環境を活かし「島嶼から学ぶ」島嶼看護学教育の看護学士課程への導入促進に資することであった。島嶼看護学教育の効果は、学生、教員、地域の専門職において"島嶼での理解の深まり""島嶼看護の魅力と理解""学習力・教育力の向上""看護実践力・地域力への貢献"があった。課題は、"島嶼での学びの意義"を多くの大学が挙げていた。その解決に向け島嶼看護学教育内容を体系化する必要性が提言された。
著者
佐久川 政吉 大湾 明美 宮城 重二
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.65-69, 2010-03
被引用文献数
1

自己決定や権利擁護など、当事者主体のケアが求められている今日、強さや長所を意味する「ストレングス」の概念を整理し、高齢者ケアの実践と研究に活かしていくことは重要である。本研究の目的は、高齢者ケアの実践と研究にストレングスを用いるために、ストレングスの概念を整理することである。ストレングスの定義は、人間の持つポジティブな面を現わし、構成要素は、「本人」だけでなく周りの「環境」も含めて捉えていた。実践研究において、ストレングスの概念やモデルを用いているが、操作的定義が曖昧であり、研究対象者の実態に基づいているのかについては、吟味が必要であった。今後、ストレングスを高齢者ケアの実践に活かすためには、個人と環境の構成要素について、丁寧にアセスメントを行い、ストレングスを導くことが必要である。また、研究においては、概念を操作的に定義し、構成要素を対象の特性に合わせて焦点化して用いることが求められる。
著者
大湾 明美 佐久川 政吉 上原 綾子
出版者
沖縄県立看護大学
雑誌
沖縄県立看護大学紀要 (ISSN:13455133)
巻号頁・発行日
no.11, pp.25-30, 2010-03

【目的】ケアマネジメントに不満を訴える事例の事例検討から、ケアマネジャーの援助技術向上のための役割を再考する。【方法】対象は、A居宅介護支援事業所と大学教員で事例検討した事例Bの事例検討会での討議内容である。方法は、1.5時間の事例検討の内容をテープで録音し逐語録をおこし、(1)対象の捉え方、(2)不満内容の状況、(3)不満への対応プロセスと居宅サービス計画への反映、(4)利用者本位の視点での事例提供者の自己評価について、整理分析した。【結果】1.対象の捉え方は、事例提供者は問題の多い問題解決困難なケースとしていたが、事例検討ではニーズ把握がしやすいケアマネジメント容易なケースとしていた。2.不満内容は、サービス事業所に対する不満(ヘルパーとリハビリスタッフへの不満)と保険者(介護保険制度)に対する不満であった。3.不満への対応プロセスは、可能な限り対応していたが、制度の狭間で本人のニーズには応じられていなかった。しかし、居宅サービス計画では、本人の意向の反映が不十分でズレがみられた。4.事例提供者の自己評価では、メディカルモデルの視点が強く、利用者本位のケアマネジメントに繋がりにくいと評価した。【結論】ケアマネジヤーの役割として、対象をプラス面やストレングスで捉える援助技術が求められる。不満も情報として受け止め、ケアマネージャーは居宅サービス計画に反映させることである。不満を訴える事例は、ケアマネジメントの援助技術を向上させる貴重な事例である。