著者
大出 訓史 安藤 彰男 谷口 高士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.71, pp.1-6, 2010-06-03

近年,臨場感という観点から映像・音響メディアの研究が行われている.臨場感という言葉は,再生品質の評価において「リアリティ」の同義語として用いられるが,現実場面では心を揺さぶる体験にも用いられ,その定義は定まっていない.臨場感の要因を探ることを目的に著者らが行ったアンケート調査の結果では,臨場感の定義として「目の前に」といった近さを挙げる例が多かった.本報告では,臨場感と近さの関係を調べるため,音源との距離を変えて音楽聴取実験を行った.その結果,生演奏という現実場面でも,演奏者に近づいて聴取することで臨場感が高まることが分かった.また,収音位置の異なる再生音を聴取した場合,臨場感は主観的な近さと相関は高かった.「迫力のある」,「はっきりした」,「動きの大きい」といった印象が高い場合に,再生音に対する臨場感の評価が生演奏を上回ることがあった.これらの結果より,忠実に再現されているかというよりも特定の印象が強調されているとき,臨場感が高く評価される可能性が示された.

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恐らくここら辺の問題はこの論文によって少しは解明されているのだとは思うのだけれども、CiNiiではあと1年しないと読めない。 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007890727

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