著者
松田 智子
出版者
佛教大学社会学部
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
no.50, pp.85-99, 2010-03

本稿の目的は,DV被害の実態と構造を概観した上で,DV被害者支援の現状について検討を行い,今後の対策の課題について明らかにすることである。本稿では第1に,2008年度の全国調査をもとにDVの実態を明らかにしたが,前回の2004年度の調査と比較して数値の変動の幅は小さく,DVが社会全般に広がりをもつ深刻な問題であることが改めて明らかになった。第2に,DVが生み出される構造についてイデオロギー,社会構造,プロセス,リスク要因の4つの次元から再整理を行った。第3に,DV被害者をめぐる支援体制について,法的な対応,警察の対応,地方自治体の取組を中心にその現状と課題について検討を行った。「配偶者暴力防止法」の成立は,「法は家庭に入らず」原則を打破した画期的なものであり,その後の2度の改正によって,DVの防止と被害者の保護の具体的内容が強化されてきた。しかし被害者支援の多くは対症療法的であり,質・量ともに更なる支援体制の強化が求められる。DVの実態DVの構造配偶者暴力防止法保護命令制度配偶者暴力相談支援センター

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@datsukolsaikou DVには、「女性の経済的自立の困難、社会的・法的サポートといった援助資源の欠如が、男性の暴力をエスカレートされるリスク要因として働いている」 https://t.co/owddklLUbv

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