著者
山本 奈生
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
仏教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
no.17, pp.127-137, 2010-03

これまで,いわゆる「監視社会」論は,国内外の都市社会学や犯罪社会学に対して一定の影響を発揮してきた。「監視社会」をめぐる議論では,監視と安全,あるいは監視と自由といったテーマが取り上げられてきたが,しかしこれらの議論に対する社会学的評価は,未だ十分に定まっているとはいえず,「公共圏」や「パノプティコン」などの部分的なキーワードのみが比喩的に援用されてきたともいえる。本稿では,代表的な「監視社会論」の命題を整理したうえで,これに理論的検討を加えるが,ここで「監視社会」論の主たるテーマとされるのは次の三点である。.監視と権力性の問題,.監視とプライバシーの問題,.監視と「法維持的暴力」,あるいは公共圏との関係,が本稿で取り扱う問題圏であり,さらにこれらのテーマが内包する「監視社会論」の前提命題について検討を加える。そして結論として,.の命題が..の成立要件をなしていることが主張される。監視社会法維持的暴力公共圏

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