- 著者
-
中野 加奈子
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, pp.55-70, 2009-03-01
ホームレス問題が社会問題化した1990年代後半以降には,ホームレス問題に取り組む研究者や支援者達によって様々な調査研究がなされ,ホームレス状態におかれる人々の生活実態が明らかになってきた。また2002年には「ホームレスの自立支援等に関する特別措置法」が制定されるなど政策的にも大きな動きがあった。しかし,これまでに生活再建に関わるソーシャルワークの課題として,Iホームレス問題」が取り上げられてきたことは少なかったように思われる。そこで本稿では,ホームレス問題についての先行研究や,制度政策の変遷,また実態調査の結果を振り返りながら,ホームレスの生活実態や,生活問題を捉える視点について考察し,ホームレスの生活史から,「ホームレス問題」を捉える事の重要性を検討する。そして,ホームレスの生活問題の特質と生活が変化していく過程を捉え,生活再建の意味とソーシャルワークに求められる機能を検証していく。