- 著者
-
大畠 雅之
徳永 隆幸
吉田 拓哉
望月 響子
永安 武
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本小児外科学会
- 雑誌
- 日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.7, pp.1151-1155, 2010
- 参考文献数
- 8
瘻孔再発を繰り返した直腸尿道瘻術後の高度排便障害に多孔性ポリウレタン肛門用装具(アナルプラグ)使用でQOLの改善が得られた症例を経験したので報告する.症例は10歳男児.直腸尿道瘻の診断で生後9か月に根治術を受けたが術後直腸尿道瘻が再発した.3回の瘻孔閉鎖術不成功の後,7歳5か月時に腹仙骨会陰式Endorectal pul-through法による直腸尿道瘻閉鎖が行われた.その後難治性の便失禁に陥り,人工肛門,MACE法による排便管理を予定したが家族の希望で多孔性ポリウレタン肛門用装具の使用を試みた.使用開始当初の肛門違和感克服後便失禁症状の著明な改善がみられた.成長期の小児にとってアナルプラグの長期効果は不明であるが,肉体・精神発達時期の小児にとって一時的とはいえ失禁の不安から解放される時期を提供できる有効な治療法の一つと思われる.