著者
吉田 拓哉 中川 敦子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.144, 2013

背景音楽の歌詞が文章課題の遂行を妨害することが報告されている。本研究は,この影響を実行注意の個人差から検討した。実行注意の効率を測定する尺度としてエフォートフル・コントロール(EC)尺度を用い,大学生をEC低群とEC高群に群分けした。そして両群ともに無音,音楽のみ,音楽・歌詞の3つの音楽環境条件で,文章課題と計算課題を行った。課題ごとに作業量を分析した結果,EC低群の音楽・歌詞条件で文章課題の作業量減少が認められたが,高群は両課題のどの条件でも差は認められなかった。よって課題遂行時の背景音楽の歌詞による妨害効果は,実行注意の働きで軽減される可能性が示された。また課題ごとに正答率を分析した結果,音楽のみ条件で正答率が低下した。この結果からは,音楽・歌詞条件では,より注意を喚起する歌詞に抵抗するために却って課題に集中した一方で,音楽のみ条件では,音楽によって弛緩状態に陥った可能性が考えられる。
著者
篠原 彰太 山根 裕介 大関 圭祐 吉田 拓哉 田浦 康明 小坂 太一郎 江口 晋 永安 武
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.986-990, 2023-10-20 (Released:2023-10-20)
参考文献数
10

症例は在宅中心静脈栄養を行っているヒルシュスプルング病類縁疾患の1歳11か月の男児.中心静脈カテーテル関連血流感染症(catheter related blood stream infection: CRBSI)を繰り返しており,定期外来で予防的エタノールロック療法を行っていた.受診4日前の定期外来時に,中心静脈カテーテル接続部のぬぐい培養を提出した.受診前夜に高熱が出現し,翌朝当科外来を受診した.ぬぐい培養でKlebsiella spp.が検出されていたこと,家庭環境から入院が困難であったことからセフトリアキソンナトリウム水和物(CTRX)による外来抗菌薬静注療法(outpatient parenteral antimicrobial therapy: OPAT)を選択した.外来でCTRX 60 mg/kgの静注及び2時間のエタノールロックを施行し,10日間の治療で治癒し得た.児の全身状態が保たれ,使用する抗菌薬が決定している場合は,OPATはCRBSIの治療選択の一つとなる可能性が示唆された.
著者
大畠 雅之 徳永 隆幸 吉田 拓哉 望月 響子 永安 武
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.1151-1155, 2010
参考文献数
8

瘻孔再発を繰り返した直腸尿道瘻術後の高度排便障害に多孔性ポリウレタン肛門用装具(アナルプラグ)使用でQOLの改善が得られた症例を経験したので報告する.症例は10歳男児.直腸尿道瘻の診断で生後9か月に根治術を受けたが術後直腸尿道瘻が再発した.3回の瘻孔閉鎖術不成功の後,7歳5か月時に腹仙骨会陰式Endorectal pul-through法による直腸尿道瘻閉鎖が行われた.その後難治性の便失禁に陥り,人工肛門,MACE法による排便管理を予定したが家族の希望で多孔性ポリウレタン肛門用装具の使用を試みた.使用開始当初の肛門違和感克服後便失禁症状の著明な改善がみられた.成長期の小児にとってアナルプラグの長期効果は不明であるが,肉体・精神発達時期の小児にとって一時的とはいえ失禁の不安から解放される時期を提供できる有効な治療法の一つと思われる.