- 著者
-
中村 友昭
長井 隆行
岩橋 直人
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.109, no.375, pp.7-12, 2010-01-14
本稿では,ロボットが身体性を利用することで取得する視覚・聴覚・触覚のマルチモーダル情報を用い,総合的に物体のカテゴリ分類を行うことで,物体概念を形成する手法を提案する.ロボットは,複数の情報を利用することにより,今まで画像だけでは分類することができなかった物体であっても分類することができるようになり,より人間の感覚に近い物体概念を形成することが可能である.提案するアルゴリズムはグラフィカルモデルに基づいており,物体のカテゴリゼーションはそのパラメータである条件付確率を推定する学習の問題となる.提案手法は教師なし学習であるため,人間が正解を教えることなくロボットの自律的なカテゴリゼーションが可能である。また,学習結果を利用した未知物体のカテゴリ認識や,カテゴリを通した機能の確率的推定も可能となる.さらに本稿では,マルチモーダルLDAにより形成された概念を基に,単語の意味を接地する手法を提案する.提案手法では,入力されたマルチモーダル情報に対応する単語を確率的に推論することや,単語からその単語が指す概念を推定すること,さらに単語とモダリティとの結びつきを求めることが可能となる.本論文では,提案するアルゴリズムを実際のロボットに実装することで,提案手法の有効性を示す.