- 著者
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三島 万里
- 出版者
- 文化学園大学
- 雑誌
- 文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, pp.31-43, 2010-01
効果測定の不明確性,企業業績の悪化の改善を理由に,企業コミュニケーション中の自社媒体の見直しが相次いでいる。なかでも広報誌の休廃刊を行う企業は多く,09年4月には30年の歴史を持つ『サントリー・クオータリー』が休刊した。理由は「事業の多角化とグローバル化を進めるなか,その役割を見直す」ためという(同社HPより)。同社は2010年12月を持って大阪・サントリーミュージアム「天保山」も閉館するという。量的には決して多くはないものの根強い愛好者をはぐくんできた自社媒体を相次いで廃止することで,当該企業の企業コミュニケーションはどのように変わっていくのだろうか。本稿では「多角化とグローバル化」を旗印に躍進を続けている味の素株式会社(以下味の素(株))の二つの企業広報誌と,その休刊後の企業コミュニケーションの変化を分析,企業コミュニケーション上の広報誌の位置を検証する。