著者
高柳 侑華 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.37-47, 2011-01-01
被引用文献数
1

対話は言語的または非言語的メッセージを相互にやり取りすることで成立する.科学技術の進歩により,近年ではコミュニケーション対象は人だけでなく,ロボットやCGキャラクタ等の人工物にまで拡大しつつある.しかし,現状ではこのような対話は人同士のように円滑ではない.これは,言語・非言語情報の欠落により,発言の意図やだれに向けての発話かを判断することが困難であるということが大きな理由の一つとして考えられる.しかし,これまでの対話研究は人同士の2者間対話が中心であり,発言のアドレス(発言が誰に向けられているのか)に注意する必要性は低かった.そこで,本研究では『人と人工物が非言語のみで多人数対話をする際には,顔の向きと発話タイミングを組み合わせて用いることによって発言が誰に向けられているかが判断される』という仮説のもとで認知実験を行い,顔の向き要因と発話タイミング要因の発言のアドレッシングへの効果を検証した.その結果,人と人工物が非言語のみで行う多人数対話において,顔の向きと発話タイミングは発話のアドレスを示す効果があるということが示唆された.

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