著者
長島 一真 森田 純哉 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.AG21-E_1-13, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
43

To date, many studies concerned with intrinsic motivation in humans and artificial agents based on a reinforcement learning framework have been conducted. However, these studies have rarely explained the correspondence between intrinsic motivation and other essential cognitive functions. This study aims to build a method to express curiosity in new environments via the ACT-R (Adaptive Control of Thought-Rational) cognitive architecture. To validate the effectiveness of this proposal, we implement several models of varying complexity using the method, and we confirm that the model’s behavior is consistent with human learning. This method focuses on the“ production compilation” and ”utility” modules, which are generic functions of ACT-R. It regards pattern matching with the environment as a source of intellectual curiosity. We prepared three cognitive models of path planning representing different levels of thinking. We made them learn in multiple-breadth maze environments while manipulating the strength of intellectual curiosity, which is a type of intrinsic motivation. The results showed that intellectual curiosity in learning an environment negatively affected the model with a shallow level of thinking but was influential on the model with a deliberative level of thinking. We consider the results to be consistent with the psychological theories of intrinsic motivation. Furthermore, we implemented the model using a conventional reinforcement learning agent and compared it with the proposed method.
著者
竹内 勇剛 中田 達郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.131-140, 2013 (Released:2013-01-17)
参考文献数
20

Agency identification has been one of fundamental issue of Human-Agent Interaction studies. We carried out two experiments to examine what sort of behavior does make human identify the agency. And In order to examine agency identification, there was equipped an experimental environment for observing how people interpret other's behavior. The experimental environment which physically provided the interaction between human and computer was a media system that connects two sides of the experimental environment through the computer network. Therefore two persons can interact each other by using the own side's experimental environment that they can only touch and change color of the grid described to the screen. The task of experiment required participants to discriminate the other party if it was a human or a computer when they played the system. In this study, we regard attribution of humanlikeness toward other's behaviors as a sign of agency identification. The result of experiments showed that people can attributed humanlikeness toward other's behaviors when their actions were synchronized with other's actions such as rhythmical pattern and relation of spacial pattern. This result suggests that human agency identification is induced by interaction between the target entity and his/herself.
著者
朝日 南々香 竹内 勇剛
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J106-D, no.1, pp.2-13, 2023-01-01

対人インタラクションにおける身体接触は,被接触者に精神的安泰をもたらしたり,向社会的行動を促進する効果があることが明らかになっており,このような身体接触はソーシャルタッチと呼ばれている.本研究では,ロボットが作業課題の遂行を依頼する状況下において,ロボットの接触のタイミングの統制が2名の実験参加者の協力行動に及ぼす効果を明らかにするため,2人1組の19ペアを対象に同期条件/非同期条件/非接触条件の3条件からなるインタラクション実験を行った.実験は,ロボットが作業課題の依頼とともに身体接触を行い,その後実験参加者の2名1組のペアとなって作業課題を行うものである.実験の結果,ペアに対するロボットの同期的な接触が,非同期的な接触や接触しない場合に比べ,統計的有意に実験参加者の協力行動を促進させることが明らかになった.一方で,ロボットの身体接触は,実験参加者のペアとなった相手及びロボットに対する印象には影響しなかった.これらの結果から,ロボットによるソーシャルタッチはインタラクションにおける時間的構造が関与している可能性が示唆され,二者に対する同期的な身体接触は,人同士の協力行動を促進するために有効であることが示された.
著者
山本 紗織 寺谷 望 中村 有美香 渡辺 成美 林 延徳 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.176, pp.31-36, 2012-08-11
参考文献数
11

一般に普及しているビデオチャットシステムを利用した遠隔コミュニケーション環境では,多人数での対話参加者間の視線によるインタラクションを成り立たせることができない.そのため,話者によるアドレッシングや次話者への発話権の円滑な交替が困難となり,多人数対話機能はほとんど利用されていない.このような問題に対して,申請者は視線による自然な発話アドレッシングとセレクトを明示化した多人数ビデオチャットシステムPtolemaeusを開発し,このシステムによって実現できた視線によるインタラクションが円滑な遠隔多人数対話を実現できる可能性を実証した.
著者
宮越 規彰 竹内 勇剛
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J102-A, no.2, pp.93-105, 2019-02-01

本研究ではWWW閲覧者の環境に左右されず,書体変化が容易なWebフォントを活用し,Webサイトに表示されるテキストコンテンツの書体を変化させることによって,ユーザへ与える認知的効果を調査した.実施した実験では,高級感が強いと評定された書体と低いと評定された書体との間の同一コンテンツに対するユーザの反応に着目し,書体の変化が向社会的行為に影響を与えるという仮説に基づき,仮想的な寄付行動に伴う額の大きさに与える効果を検証した.その結果,Webフォントによる書体変化の順序の違いによってユーザが寄付を試みる額に違いが観察され,Webフォントを用いてユーザの行動に対して作為的な操作を与えることが可能であることが示唆された.これにより,書体がユーザに与える認知的効果を活かしたサービス開発や表現に本研究の知見が貢献することが期待される.
著者
竹内 勇剛 片桐 恭弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.123, pp.57-63, 1999-06-18
参考文献数
17
被引用文献数
6

人間は自分と類似した態度をとる他者に対して好意を抱く傾向がある.さらに類似した他者とのインタラクションを想定した場合,その者との作業の円滑な進行が実現する可能性を高める効果がある.本研究では,このような社会心理学的知見をもとに,人と擬人性を付与したエージェントとの間において人同士と同様な社会的インタラクションが成り立っていることを心理実験を通して実証した.本実験の仮説としては,人-エージェント間においても人同士と同様な社会的インタラクションが観察できると考えた.実験の結果,人の判断に同意する傾向を示すエージェントに対しても人は人同士の場合と同様に親和的反応を引き起こしていた.このことから仮説は支持され,人とエージェント間においても社会的インタラクションが成り立っていることが明らかになった.
著者
鈴木 紀子 竹内 勇剛 石井 和夫 岡田 美智男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.1328-1338, 2000-05-15
参考文献数
15
被引用文献数
8

人間は自分の発話や動作の一部を相手に真似されると,その相手の模倣的な振舞いの背後に自分に対して積極的に働きかける姿勢や感情を見いだしてしまう.その結果,相手に対する共感的な感情が生まれ,情緒的な関係の形成・維持が促進される可能性が高い.このことを検証するために本論文では,直前に発せられた発話を非分節音に変換し,音声の大きさ,リズム,イントネーションといったプロソディのレベルで模倣する機能を備えた仮想的なクリーチャをコンピュータ上に構築した.また,このクリーチャに対して発した音声を模倣されることによって引き起こされる心理的な影響について調べた.心理的評定実験では,直前に発した発話のプロソディを反響的に模倣する模倣的音声が占める割合と,一定のプロソディの音声を発する非模倣的音声が占める割合とが異なる3種類のクリーチャを用意し,各クリーチャとの相互作用に対する印象の評定を行った.その結果,被験者の発した音声に対する応答のうち,模倣的音声の占める割合の高いクリーチャほど,被験者のそのクリーチャの態度に対する好感度の評定値が高くなることを確認した.この結果は,自分の発話を反響的に模倣されることによって,非生物である仮想的なクリーチャに対しても共感的な感情をいだく可能性があることを示唆している.In this paper we describe results from an experiment of an interactionwith an artificial creature that mimics human voice echoicly usinginarticulate sound.We consider that humans are apt to find apartner's intention or emotion to themselves,when the partner mimics their utterance echoicly under prosodic level.As a result,we regardthat empathic interaction emerge among them.We test this hypothesisby having subjects interact with three artificial creatures that givedifferent rates of their respective response,mimicked prosody voice or constant prosody voice.Subjects' evaluations of the creature werecollected with a questionnaire according to impression of interactionwith the creature.The result suggests that the higher the mimicryrate is for the creature,the more positive the impression of the subject is.We consider that the result supported our hypothesis thatthe echoic mimicry is a key for the emergence of empathic interactionbetween humans and computers.
著者
筧 一彦 島田 正治 河原 英紀 竹内 勇剛
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

良好な人間-機械間の対話コミュニケーションの実現には、人間の機械に対する対話の志向性を形成することが重要である。このため対話における非言語情報や環境要因について検討した。1)対話の共感性:非擬人的エージェントであるクリーチャーが、人間の発話の韻律情報を模倣する非言語的応答を返すことによって、エージェントとの共感性が高まることを明らかとした。人間はクリーチャーの発話速度の変化に対して調整的発話をすることや通常より高いピッチレンジの応答に対して相手の強い意図や要求を感じるなどの点が明らかとなった。また、擬人的エージェントに対しては、エージェントの仮想的身体に対して働きかけを行うこと、複数エージェントとの対話環境においては、多数意見を背景にした行動をとることなどが判明した。2)感情音声の高品質処理と知覚特性:STRAIGHTをベースとした音声モーフィング法を完成した。異なる感情発話の間をモーフィングした音声の自然性が心理実験に十分な品質をもつこと、感情音声の心理連続体を構成うることを明らかとした。また、表情の知覚と異なり感情音声の知覚は必ずしもカテゴリカルでないことを示した。また、感情音声は言語の制約をこえて普遍的に知覚されることを示した。3)音源知覚・音環境制御:明確な音源定位知覚を得るのに必要な刺激音の提示時間刺激音の種類について明らかとした。また、ヘッドホン受聴、ステレオ拡声における両耳相加効果を解明した。音環境実現する手法として波面合成法をベースとし、音源推定によって少ない情報で音場再現・制御を可能とする方法を提案し、その実用を示した。また、音源が動くような場合にも適用可能なアルゴリズムを示した。
著者
山田 祐士 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.734, pp.19-24, 2003-03-11

日常的な対話においては,会話の対象や発話のタイミングが重要である.しかし,従来のチャットシステムにおいては,誰がどのようなタイミングで発話し,対話の展開にどのような影響を与えていくかということを実時間で観察することはできない.また,多人数が参加している場合,会話の対象が誰なのかという参加者の社会的な関係が分かりづらい.そのため本論文では,多人数の参加者が同時に発言することが可能な非交替型チャットシステムを提案する.本システムを利用した実験では,複数の参加者による同時発話や,発言位置の変更などといった現象が確認された.その結果,本システムを用いることでチャットにおける対話のダイナミクスを実時間で観察できると共に,参加者の社会的な関係に関する新しい対話分析法が実現されることが期待される.
著者
長谷川 祐司 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.3692-3702, 2007-12-15
被引用文献数
2

本研究では,ユビキタス・コンピューティング技術の発展にともなって増加することが予想される,物理的ないし時間的に制約のある公共空間での情報提供場面において,情報を個別化して提供することによってユーザの行動や態度を促進・抑制させるような情報提供手法を提案することを目的としている.本稿では,情報の効率的利用として従来から広く研究されてきた情報の個人化に対する概念として情報の個別化について述べ,情報が個別化されていることをユーザが認知するための要因について言及した.特に,提供されたコンテンツが個別化されているか否か,そのコンテンツを他者と共有できる状況にあるか否かの2 要因に着目し,ユーザの認知と行動にどのような影響を与えているかを観察するための実験室実験を行った.その結果,コンテンツを個別化することの有用性が示されたとともに,提供された情報を他者と共有することのできる環境で受け取ることによってさらにその効果が高まる可能性が示唆された.さらに実験室実験で得られた知見に基づいて実地実験を行い,その結果が現実社会においても十分な有効性を示すことを明らかにした.本研究において得られた知見から,情報の個人化という従来の視点に対し,人間の社会的認知傾向を考慮した情報の個別化という側面からの検討が,公共空間における個人間の差異を吸収した適切な情報伝達の実現に寄与することが期待される.In this psychological research we present an effective approach to convey individualized information in various real community spaces, which this research concerns ubiquitous information dissemination. We study the natural reception of information within the ubiquitous computing environment and consider the problem of conveying individualized information through psychological experiment. The experiments was conducted in the laboratory to observe the influence of information on experimental participants' acknowledgment and action. The result indicated the possibility that the contents were more effectively conveyed in populous circumstances. Moreover, we conducted the experiment on real location. The findings of this experiment indicated similar effectiveness to the result verified in laboratory, which suggests that the approach of this study to convey individualized information to each person is useful in public space.
著者
河村 真吾 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.59, pp.95-100, 2007-05-17

This study inspects the influence of visual effect of non-symbolic expression upon human selective decision. In this experiment, we showed subjects an arrow with two typed of non-symbolic expression. One type is to remind subjects of the same meaning of a direction of the arrow, another is to remind them of the opposite meaning. Then, we inspected the influence of non-symbolic expression upon subjects selective decision. The experimental results indicate when the arrow with non-symbolic expression that to be reminded of the opposite meaning of the arrow is shown, necessary time to select a direction became longer and a probability of the correct selection came down.
著者
竹内 勇剛
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は,知的人工物と人間との日常的な生活環境の中での自然なコミュニケーションの実現を目指し,知的人工物の知性と身体性に対する人間の認知的姿勢に基づいた適切なコミュニケーション環境モデルを提案することを目的とした.そこでまず,様々な状況におけるコンピュータやエージェントの一般的な利用場面を通して,それらの知性と身体性がどのような認知的姿勢のもとでそれらと人間との間の社会的なインタラクションに寄与しているかを検討した.この際,心理学的手法を用いた実験に対して統計的な分析を行なうことで,より定量的な視点での考察が可能になる.その結果,人間はアバターのように背後に実在する人間が操作しているような対象に対して,設計者が想定するように「アバター」として機能していることを基盤とした反応をせずに,インタラクションの実際の対象となっているアバターの像そのものに,人格性を帰属させた対人的反応を示すことが明らかになった.すなわち,人間はたとえ仮想的で実体を伴わない人工物であっても,その振る舞いが知的であると認知されると,そこに独立した人格性を帰属させ,背後にある様々な"仕組み"も対面している人工物自身の機能として認知してしまう反応をするのである.さらに,仮想的な身体を有した人物像との対話場面において,人間はその人物像のもつ身体的機能(視認・聴取・口述)を自然なものとして認知し,たとえば画面上に表示された人物像に対して,直接手にとったものを見せたり,話し掛けたり,人物像が発する音声が聞き取りづらいときに画面に近づいて耳を傾けるなどの間身体的反応が観察された.これらのことは,Reeves & Nass(1996)で主張されているMedia Equationパラダイムに基づく人工物とのインタラクションモデルを実証的なデータにも基づいて支持するものであり,ロボットなどの実体を伴った人工物とのインタラクションと仮想的な身体をもった知的人工物との特別な心理学的差異は存在しないことを示唆するものとして意義深い成果となった.
著者
高柳 侑華 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.37-47, 2011-01-01
被引用文献数
1

対話は言語的または非言語的メッセージを相互にやり取りすることで成立する.科学技術の進歩により,近年ではコミュニケーション対象は人だけでなく,ロボットやCGキャラクタ等の人工物にまで拡大しつつある.しかし,現状ではこのような対話は人同士のように円滑ではない.これは,言語・非言語情報の欠落により,発言の意図やだれに向けての発話かを判断することが困難であるということが大きな理由の一つとして考えられる.しかし,これまでの対話研究は人同士の2者間対話が中心であり,発言のアドレス(発言が誰に向けられているのか)に注意する必要性は低かった.そこで,本研究では『人と人工物が非言語のみで多人数対話をする際には,顔の向きと発話タイミングを組み合わせて用いることによって発言が誰に向けられているかが判断される』という仮説のもとで認知実験を行い,顔の向き要因と発話タイミング要因の発言のアドレッシングへの効果を検証した.その結果,人と人工物が非言語のみで行う多人数対話において,顔の向きと発話タイミングは発話のアドレスを示す効果があるということが示唆された.
著者
竹内 勇剛 片桐 恭弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.623-631, 1999-02-15
被引用文献数
11

本研究では マルチタスク/マルチウィンドウを可能とするコンピュータにおいて 人格化にともなう個体性が個々のウィンドウに対して帰属されるかを社会心理学的手法を用いて実証する. 個体性の帰属を観察するために 人-コンピュータ間における礼儀(politeness)に基づく対人インタラクションに注目する. 人-コンピュータ間においても人-人同様の「礼儀」に基づくインクラクションが観察されるとき 人はコンピュータを人格化していると考えられる. 実験では 最初にコンピュータ画面上のあるウィンドウからCAI形式による情報提供が被験者に対して行われた. 次に 以下の3条件によってその情報提供に関する心的評価の回答を求めた:(a)情報提供を行ったウィンドウ自身に評価を行う. (b)情報提供を行ったウィンドウとは異なるウィンドウに評価を行う. (c)情報提供を行ったウィンドウとは異なるウィンドウに評価を行う 先行して情報提供をしたウィンドウは画面上から消えている. その結果 コンピュータ使用に熟練した者では (a) (b)条件における評価がどちらも(c)条件より有意に高かった. だが コンピュータ使用に熟練していない者ではこれらの差は観察されなかった. これらのことから コンピュータの機構を熟知している者は個々のウィンドウに対して個体性を帰属させ そうでない者は物理的な実体としてのコンピュータに個体性を帰属させていることが明らかになった.Recent studies on social responses in human-computer interaction have been finding affirmative evidences which indicate that even when people interact with computer systems, people automatically and unconsciously apply social rules and principles in human-human interaction, and respond socially to computers as if they are human. This study focuses on "politeness", one of the most powerful and universal factors governing social interaction between humans, and experimentally investigates whether human-computer interaction is also dictated by politeness. The issue of attribution of individuality in interaction is also explored. A set of experimental conditions are setup to determine whether people respond to machines, visible and tangible units of hardware, or to windows, functional units of channels for interaction. The results of the experiment indicate that people who are expert computer users exhibit politeness driven responses directed toward windows as separate social individuals.
著者
戸塚 大介 小暮 悟 小西 達裕 竹内 勇剛 伊東 幸宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.487, pp.25-30, 2009-03-16
参考文献数
5

近年,情報通信機器の発達によって我々の生活は便利になった反面,我々はそれらに応答する責任を暗に負わされている.この問題を解決するために公的メディアを用いたメッセージ配信システムが提案されている.本稿では,比較的小規模な集団内で共有することにメリットがある情報として集団内に属するメンバのスケジュール情報に着目し,スケジュールの遂行支援のためのメッセージを,公的メディアを利用して配信することを考えた.まず,誰にどんなメッセージを配信すれば効果的であるかについて検討しメッセージ生成のためのルールを決めた.そして,決められたルールに従ってメッセージを生成するためのシステムを実装し,集団内での運用実験を行った.実験では,メッセージそのものの有用度の評価,またメッセージを見たユーザに対して,期待したコミュニケーションが発生したかについて評価を行う.最後に考察と今後の展望について述べる.
著者
福田 紘 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.385, pp.51-56, 2005-10-27

本研究は情報格差に対応するバリアフリーとしてユーザがより利用しやすいインタラクションモデル構築の指針を目指すものである.そこで本研究では目の動きという社会的機能に着目する.社会的機能である目の動きをインタラクションモデルに利用することでユーザは対人コミュニケーションにおける日常の経験を利用することができる.それよりユーザの認知的な負担は軽減され, かつ学習不要であるという利点を合わせ持つことになる.本稿では心理実験によって, CGキャラクタの目の動きに対する印象評価に基づく人の認知特性について報告する.心理実験ではCGキャラクタと被験者が面接という場面において簡単なインタラクションを行い, CGキャラクタの目の動きが印象形成に与える影響を観察した.その結果, CGキャラクタの目の動きは対人コミュニケーションと同様に異なって認知されることが観察された.
著者
土屋 直樹 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.681, pp.25-30, 2006-03-15

本研究ではCMC環境においてより円滑な会話を行うために,仮想空間上のアバターを用い身体的相互作用の生まれる環境の構築を目指す.そこで,身体的相互作用を支える身体的機能として視覚能力に基づく視野に注目し,仮想空間の2次元空間上に存在するアバターに視野を付与した.そして,視野の付与による相互作用の変化を観察するため,被験者に他者同士の会話へ参与する場合の身体配置を決定させる課題を与え,身体配置を記録した.その結果,被験者自身のアバターに視野を付与されることに伴って,被験者以外のアバターにも暗黙的に視野を有しているという前提の下での身体配置が観察された.このことから,視野を付与する事によって仮想空間での身体的な相互作用を促進させる可能性が示され,CMCシステムの設計において,アバターの空間的な配置や身体的な振る舞いの付与を検討する事の重要性が示唆された.