- 著者
-
前田 洋一
- 出版者
- 日本教科教育学会
- 雑誌
- 日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.4, pp.209-215, 1996-02-20
本研究は,中学校理科における観点別評価と評定の実態を明らかにするために行ったものである。平成5年度末に,指導要録に記入された理科の観点別評価と評定を収集した。調査対象となった生徒は,男子538名,女子535名の合計1073名である。その結果,以下の2点が明らかとなった。(1)「関心・意欲・態度」,「知識・理解」,「技能・表現」の観点については,生徒の80%前後が達成していたが,「科学的思考」では生徒の約65%しか達成していなかった。(2)評定と観点別評価の間の相関値を見てみると,評定と最も相関の高い観点別評価の項目は,どの学年でも知識・理解の観点であった。相関係数は,0.80から0.84と高い正の相関値を示した。教師は生徒の能力を多面的に評価しようとしているが,本研究の結果は,知識・理解と評定の関連性を強調するものになっている。生徒の学力を多面的に評価するために授業と評価を一体化させることが急務である。