著者
武内 裕明
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.49-58, 2008-12-25

本稿では,「音楽鑑賞アワー」の初期のプログラム構成の変化に着目し,累積的なプログラム構成という性格を獲得するまでの経緯を明らかにする。「音楽鑑賞アワー」は,ダムロツシュが主幹した音楽鑑賞番組であり,1928年に最初の全米学校放送番組として始められた。1928年シーズンは,どのプログラムでも同一の知識を提供することを目的としたダムロツシュの子どものためのコンサートを基礎としていた。4つのシリーズは全て楽器を中心に構成され,コンサート的性格であった。一方1930年シーズンでは,4つのシリーズを構成する主題はそれぞれ異なり,それぞれのシリーズが累積的に聴取されるべきものであるとする教育的意図を特徴としていた。このように,「音楽鑑賞アワー」は1928年シーズンには子どものためのコンサート的性格であったが,1930年には4つのシリーズごとに主題を変えた累積的な放送という教育的性格を獲得したのである。

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