- 著者
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宮入 小夜子
- 出版者
- 学校法人 開智学園 開智国際大学
- 雑誌
- 日本橋学館大学紀要 (ISSN:13480154)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, pp.15-27, 2011
本稿は、2009 年7 月に全国の1 万人以上の都道府県・市区町村を対象に行った「行政組織の組織風土改革に関する実態調査」(N=509)をもとに、どのような要因が行政組織の改革実現に寄与するのかについて、仮説モデルを提示することを目的とした。調査結果からは、行政組織の組織風土を規定する範囲としての組織の境界に対する認識が曖昧であることが示唆され、「地域」と「役所」の混同が見られた。行政組織においては組織風土改革を重視する割合は6 割程度に止まり、その内容も職員個人の意識改革を掲げているところが大多数であった。組織風土・職員意識改革に関連した質問項目のクロス集計から、(1)首長が組織風土・体質および職員意識の改革について重視し、マニフェストに明記している場合、総合計画や行政改革プランに組織風土・職員意識の改革に関する項目が明記される可能性が高まる。(2)首長のマニフェストに掲げられた改革ビジョンが計画に反映されることで、新たな制度の導入や、それに基づく行動を促進させる可能性が高まる。(3)総合計画や自治基本条例の中に行政組織(役所)としての理念やビジョンが明記されている場合、組織風土・職員意識改革に関する項目が総合計画等に明記され、コミュニケーションの機会を増やし、具体的な業務や行動の改革に繋げていく可能性を高める、といった仮説が導き出された。